令和6年度 第1回高知声と点字の図書館運営協議会 日時:令和6年11月28日(木曜日) 午後2時から午後4時まで 場所:オーテピア4F研修室 出席者 委員長 高知県社会福祉協議会 常務理事 井上 達男 委員 点訳ボランティア団体 高知ブライユの会 代表 小野 ちづる 高知県身体障害者連合会 視覚障害生活訓練指導員 金平 景介 高知県視覚障害者協会 会長 中島 正美 高知県立盲学校 校長 中野 直喜 高知県視力障害者の生活と権利を守る会 副会長 藤原 義朗 音訳ボランティア団体 高知朗読奉仕者友の会 会長 松田 光代 NPO高知県肢体障害者協会 副会長 松本 誠司 事務局 高知市健康福祉部 福祉事務所長 和田 秀幸 声と点字の図書館 館長 西岡 和美 副館長 都築 靖子 再任用副主幹 坂本 康久 事務局関係機関 高知市教育委員会 市民図書館長 髙石 敏子 高知県教育委員会 高知県立図書館長 杉本 幸三 高知県子ども・福祉政策部 障害福祉課 課長 森木 博也 1 挨拶 (福祉事務所長) 2 委員紹介・議事  (各委員より挨拶) 会長:それでは、議事に入らせていただきます。今回事務局から令和6年度の取り組み、中間報告の議題が提案されておりますので、まずは事務局から説明をお願いいたします。 (事務局説明) 会長:ありがとうございました。それではただいまの事務局の説明に対しまして、ご意見、ご質問等ございますでしょうか? 委員:まず、声と点字の図書館の年代別利用状況をお伺いいたします。主に60代、70代の方々に関しては録音図書、点字図書を利用されていると伺いますが、若い世代では全く違うと聞いております。今後の図書館運営計画では、若い層の意見も取り入れていかなければいけないと思います。そこで、年代別利用状況とはたとえば利用している年代層が上がっているのか、下がっているのか、視覚障害者に関して言えば上がっていると思われますが、一方読書困難者の場合にはどうか等をお伺いしたいと思います。 事務局:ありがとうございます。年代別で調べてみましたところ、10代の方が40人、20代の方が10人、30代の方が13人、40代の方が18人、50代の方が28人、60代の方が47人、70代の方が84人、80代の方が68人、90代以上の方が34人ということです。平均いたしますと63.8歳ということになりました。これは、オーテピアが開館してからの利用者数342人から出した数字になります。 委員:傾向として、年代層の上がり下がりというのは分かりますか?10代が40人というのは割と若い方の利用もあるのだなとびっくりしたのですが。 事務局:オーテピアの開館前と開館後で言いますと、やはり10代、20代の方の利用が増えています。ただ、年齢だけで見ますと5年前よりは平均が5歳上がっていますので、高齢の方もいらっしゃいますけれども、若い新規登録の方も増えているというのが感想です。 委員:若い方も一定数いるというのは嬉しく思いました。今後は若い方の意見も順次出していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 会長:ありがとうございました。 事務局:補足といたしまして、先ほどの数字は今利用している方のものでしたが、全体で過去5年間の中で828人が利用登録されており、60歳以上の方が約71パーセントとなっています。 会長:ありがとうございました。他にはございませんか? 委員:私も委員と同じ質問をしようと思っていたんですが、やはり年齢層別の利用状況があるとないとでは、見えてくる角度が変わってくると思うんです。若い方の新規利用登録者が多いというのには私も驚きました。ただ、高齢者の申請者数に比べて中間年齢の方の件数が少なく、その差がありすぎるようにも感じまして、なぜそうなんだろうとも思いました。このように、こうした形で年齢別の利用状況を開示していただくことによって、まずなぜそのような偏りが出てきているのか、今後の運営協議会で考えていけるところではないのかなと思いました。  最近では若い人の点字離れや読書離れ、組織離れといったことも言われておりますので、まず何より興味を持っていただかなければ、こういった読書バリアフリーを推進するというのも難しいと思うんです。読書の楽しさを伝えるには、読書経験者でなければ難しい。魚釣りや将棋と同様です。経験していればこそ、一度読書から離れていても、また読んでみようかなと思うものです。 私の経験から言いますと、読書を始める際、ただプレクストークといった機器だけをあてがっただけでは不十分で、人を介して情報を入手することによって魅力や関心が増すんです。では、そのきっかけとは何かと言えば、私の場合は朗読ボランティアの方による朗読会でした。そこには一般の方も障害のある方も参加されていましたが、声と点字の図書館でも障害のある方を対象として、朗読ボランティアの方と連携して定期的に朗読会を開催してみてはいかがでしょうか。そこで人と人との出会いがあり、朗読者から直接生の声を聞くことができ、そこで本に興味を持ってもらったところから、図書館の利用へとつながっていくのではないでしょうか。 会長:ありがとうございました。その朗読会とは、文学館で開催されているもののことでしょうか。ご意見、ありがとうございました。 事務局:ご提案、ありがとうございます。これから音訳ボランティアの方とのご相談もありますので、声と点字の図書館だけではというところもありますから、こういうご意見があったということで、少しでも皆さんに録音図書を知っていただく機会をというところで検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。 会長:他にはございませんか? 委員:選書会についてお願いします。  選書会ができてもう数年になりますが、当初は利用者の中で自分はこういう本を読んでほしいのに、それがなかなか点字や録音図書にならないというところから、利用者団体の方でも強くしつこく要望して選書会が始まったと思うんです。そこから、今は11のカテゴリーから五つずつ選書委員が選ぶということで行われているんですが、本当はこの選書会を要望しながら希望している本がどのように選ばれるのかなと期待していたんですが、投票制で、本の解説は書いてあるんですが中身がどんな本か分からないものを五つだけ選んで投票してくださいとなると、苦痛だという話もあるんですね。ですので、それならどうして行ったら良いのかという答えは持ち合わせていないんですが、選書会のあり方がどうなのか、委員さんからご意見やお考えがあればお聞きしたいです。というのはやはり、この本を作ってほしいなと思っても、まずは選書会で選んでもらおうと思っても、私も選書会委員をやっているんですが、自分が要望した本が何だったのか覚えていないんですね、その本を読んでいないから。ですので、選書会が貴重だけど苦痛だという意見もありますので、もし何か意見などあればまず事務局からお願いします。 事務局:私が館長をやっていた時に選書会のご要望があって、なんとかみんなで本を選ぶような仕組みをということで、ボランティアさん、利用者の皆さんから読みたい本のご意見を汲み上げて、できるだけご要望に沿った本を作っていきたいというところで選書会を立ち上げさせていただきましたが、先ほど委員さんがおっしゃっていたように、まだ読んでもいない本を選ぶのはなかなか苦痛だということで、いわゆる候補リストでうちの職員が他の図書館やいろいろな図書情報からできるだけみんなに読んでもらえるような本を、興味関心のありそうな本をリストアップしつつ、かつボランティアさんや利用者の皆さんからのリクエストもそれに盛り込んで、かといってそれ全部を作るわけにはいかないので、最終的には利用者さん、ボランティアさんからなる選書委員さんの中で投票で決めるという形でやっておりまして、利用者さんにとってはなかなか提案した図書が作られない時もあるというようなことで、どうしたらよいかというようなところもございます。  今はそういう風なやり方でやっているわけなので、そこをこういう風にしたらいいんじゃないかというご提案があれば考えていきたいと思うんですが、今の形以上の妙案というのもないような状況ではあります。特に、この作られた本はすべてサピエ図書館にアップロードされますので、最新のベストセラーや人気の本というのはサピエ図書館で他の館が作っているというようなこともあって、最終的に利用者の皆さんは、読む本というのはサピエ全体の中で選ぶことができるようになるわけで、そうしたベストセラーや人気の本については録音図書、点字図書のいずれにせよほぼ網羅されている状況もあります。最終的にそのサピエにもないけどどうしても読みたいというような本が出ましたら、そこはプライベートサービスとか、そういったところでお受けして個人向けに点訳、音訳、テキストデータの三媒体で作っておりますので、個人の読みたい本に関してはできるだけご要望に沿うというような形でやっておりますが、もし何かご意見、ご提案等ございましたらよろしくお願いします。 委員:事務局からプライベートサービスという言葉が出るのを待っていました。ですので、僕はこういう本を読みたいんですけどという時には、選書会というのもあるけど、プライベートサービスもあるよということで、図書館側からも積極的に提案してほしいと思います。 会長:他、関連したご意見でもかまいませんし、何かございませんか? 委員:今日は盲学校の校長先生もお見えになっているということでお伺いしたいんですが、私は中途視覚障害者として当初点字など必要ないのではないかと考えていましたが、数年で考え方が180度変わって、今では点字の必要性を私なりに理解し他の方に説明できるくらいになりました。そのきっかけとなったのは、盲ろう者友の会で指点字を体験したことで、そこから点字の作られた経緯や必要性も理解し、高知県内においても点字を必要とする人がいる限り誰一人取り残さない社会の構築を目指すというところで、今の教育環境における点字の位置づけとはどのようなものなのかという点に関心を持つようになりました。私が協会の若い会員に点字を知っているかと問うたところ、知らないというような答えが返ってきて、このままでいくと日本における点字の重要性がかなり低下するのではないかと危惧を持ち、そのあたりの懸念も含めて盲学校の校長先生のご意見をお伺いしたいと思います。 委員:先ほどありました点字の件につきましては、児童生徒が減ってきたということもあります。今、点字で学習している生徒は二名だけです。それに関わる教員以外は、ほとんど点字で指導することはないので、そういったところでそれは高知県だけではなく他の県も盲学校の正当性という部分で維持、継承が難しくなってきているという状態です。当然、中途で理療科に入ってくる生徒さんもおりますので、なかなか理療科ではそういった点字を受けながら勉強するというのは厳しいという状態にあります。ですので、そういう生徒さんにはデイジー図書を勧めるということになります。また、重複のお子さんもおりますが、重複のお子さんは点字を学習するのも難しい部分があります。そういった現状ではございますが、盲学校を卒業された方で点字を知らないという方に関してはどういう理由で点字を習っていないのか分かりませんが、当然昔から点字に対しても専門性を持った職員はたくさんおりましたので、指導はきちっとしていると思います。現状はそういったところです。以上です。 会長:委員、よろしいでしょうか? 委員:もう一点、高知県立図書館、高知市民図書館の案件でお話します。  私は高知身体障害者連合会の会員でもあるのですが、その代表として図書館協議会に参加しているメンバーが、読書バリアフリーに関して自分は分からないとの発言があり、それは問題ではないかとの認識から、委員に視覚障害者の立場としてその発言をどう受け止められるかをお伺いしたいと思います。 会長:委員、よろしくお願いします。 委員:私も図書館協議会の委員をしておられる市身連の会長に、著作権法改正に関することや読書バリアフリー法ができることについて発言してほしいと頼むんですが、僕は視覚障害のことや著作権法、読書バリアフリーのことなんかは分かりませんからとおっしゃる。それでもやっぱり委員さんなんですから言ってください、障害者全体の代表なんだからと言うんですが、僕は視覚障害や聴覚障害のことは知らないからとおっしゃられます。それならまあ、図書館協議会の委員をある期間は聴覚障害の人、ある時は視覚障害の人というように順々に委員を変えていってもいいんじゃないかと、いろいろな障害の人の意見を反映できるような図書館協議会にしていった方がいいんじゃないかなと思ってます。以上です。 会長:県立図書館さん、何かコメントございませんでしょうか。 県立図書館長:今日頂いたご意見というのは、ずいぶん前から頂戴しているご意見です。  図書館協議会の方は、全体として幅広い分野の方にお入りいただいていることになっておりまして、先ほど特定の委員さんのお話が上がっていたようですけれども、それは団体として幅広いご意見を頂ける方を協議会に改めてご推薦いただくとか、なかなかその分野ごとに毎年毎年変えていくというのは組織として対応も難しくなりますので、そのあたりはそういった形でご検討いただくのも一つの手ではないかというように思います。私の方では、そのように視覚のこと、聴覚のことは分からないというようには聞いておりません。あくまで協議会の中では自分は団体の会員として参加しているというようなご意見を言われていますので、そういった形で会の中では我々は受け取っております。 会長:他、ありませんか? 委員:10代、40人というのは私も大変驚きましたが、この数字は間違いありませんか? 事務局:間違いありません。 委員:視覚障害者の手帳保持者数を見ると、18歳以下で一桁、10人行くか行かないかといったそれぐらいの人数の中で、40人という数はすごいなと思っていて、もちろん中には手帳保持者ではない方も含まれているとは思いますけれども、びっくりしたところです。もし分かれば、特に10代の、20歳以下の障害種別、視覚障害と視覚障害以外のことが分かればお教えいただきたいなと思いました。 事務局:発達障害の方が多く、知的障害の方を中心として、精神障害の方もいらっしゃいます。 委員:視覚障害の方だけではないのですね。  そのことに関連して、視覚障害の方の新規利用を増やせというのは割と頭打ちみたいなところがあって、障害種別の人数割合的に見てもそう思っていて、もちろん新規の視覚障害の方の登録を促しはしますけれども、啓発すべきは、それ以外の障害の方が声と点字の図書館のバリアフリー図書を利用できるということを啓発することが非常に大事だと思っています。そこで、療育福祉センターの部会でお話しされたというようなことを言われていましたので、その時の雰囲気などをお構いない範囲でお聞かせいただきたいのと、是非療育以外のセラピストのいるような場所、明日から福祉機器展なども始まりますけれども、そういった場所へ啓発をシフトしていただきたいなと思っています。 事務局:私が行かせていただいたんですけれども、初めてのアプローチではなく、何回か行かせていただいた中で今年もまた再チャレンジというような形だったのと、あと高知図書館の方とも一緒に行きまして、バリアフリー図書等全般のお話をさせていただきました。反応は、悪くはなかったですけれども、やはり時間が限られているので、十分な説明ができなかったという後悔の部分もございます。その場で出たのが、デイジー教科書のことを逆に質問されました。デイジー教科書の情報については持ち合わせていなかったのでお答えすることができなかったので、また私たち自身ももう少しいろいろと研究してから療育などにアプローチしないといけないということを感じました。  それから、明日から行かせていただく福祉機器展なんですけれども、せっかくのチャンスですので是非ともセラピストの方などにもお会いしたり、相談したい方、相談したいことなどもありますので、各ブースを回って勉強させていただくために参加させていただこうと思っています。 委員:ありがとうございます。是非療育以外の部分にも手を広げていただきたいなと思います。  最後にもう一つ、いつも申し上げているんですが、SNSの活用について。県立図書館、市民図書館、プラネタリウムなどとも一緒に、自フォロワーが増えていないかなと思って見てみるんですが、いつ見ても500ぐらいですので、是非増やしていただきたいなと。増やす工夫をしていただければ、若い世代にも図書館を知った人から図書を諦めている人へ繋がるかもしれないので、先ほどのセラピストへのアプローチもそうですけど、直接当事者へ図書を届けるというのはなかなか難しいと思うので、広く浅くではありませんが、啓発を継続的に粘り強くやっていただきたいなという風に思います。以上です。 会長:ありがとうございました。他にはございませんか? 委員:若い世代へのアプローチという観点で、三点述べます。  一つ目は、なるべく若い人にも点字図書館に親しんで使ってもらわなければいけませんので、購読されている点字書籍やデイジー本などあると思うんですが、今後若い人たちも入っていきやすいような本の検討もしていただきたいと思います。若い人に訊いたら、IT関係の本を知りたい、たとえば二か月に一回『視覚障害ITマガジン』というのが出ているので、そういうのを取ってほしいという若い子の関心のある分野まで検討していただきたいというのが一つ。  もう一つは、対面音訳に関して、今までのイメージは本を読んでもらう、新聞を読んでもらう、自分で持ってきた資料を読んでもらうというのが多いんですが、情報保障という点で言うともっと広くなると思うんですね。たとえば、若い人たちにはゲームがとても面白くなってきていて、ゲームを画面に映し出してそれを解説してもらう、それを自身でコントロールするような形にすれば、もっと楽しみが広がるのではないかという意見も若い人たちからはありますので、少し発想の転換が必要とは思うんですが、一つの情報保障という意味で、たとえばゲーム解説なども検討していただきたいということです。  三番目に、電子書籍について。今、国の方で読書バリアフリー計画の5年計画ができて、来年から第2期計画があるということなんですが、検討されている中で電子書籍のウェイトがすごく大きいんですね。本ができるまでに半年待つ、着手してから一年かかるということだと、これはもう待てないという話にもなりますので、図書館側からも是非積極的に電子書籍のことも進めていただきたいです。私もこの本読みたいなと思うものがあり、図書館に教えてもらってやってみて、これは簡単だなと思ったけど、一週間したらまたやり方が分からなくなるということもありますので、何回も繰り返してどんどんと積極的にお教えいただきたいと思います。以上です。 会長:具体的なお話を頂きました。事務局、いかがでしょうか? 事務局:『ITマガジン』に関しては、検討させていただきます。  それから対面に関してですが、今のところ藤原委員もご存じのように資料や書籍が中心になっています。情報保障という部分でいけば、モニターに映っている画像の解説は個人的にありかと思いますけれども、これも一応ご要望としてお聞かせいただき、今後いろいろ検証が必要と考えます。たとえば、ゲームの攻略本みたいなものをボランティアさんが読み上げるということであれば問題なく対面音訳サービスの範疇に入ると思うんですけれども、ゲーム中の画像の解説は対面音訳としてどうなのかなという部分もあります。そこは今後時間をかけて検討が必要ということと、対面音訳は高知図書館と一緒にやっている事業でもありますので、オーテピアとしての議論も必要じゃないかなと思いますので、本日ご意見を頂けたというところでお答えとさせていただきたいと思います。  あと、電子書籍に関しましては事務局からお答えさせていただきます。 事務局:読書バリアフリーで今後誰もが読める社会ということになると、電子書籍やオーディオブックもどんどん広がりを見せているように電子コンテンツが一番誰もが読める環境には有効だと考えておりまして、その認識は国の方でもあると思いますし、読書バリアフリー法でもアクセシブルな電子書籍というのは非常に力を入れていくと書いておりますので、すごく期待しています。 ただ、この間委員さんとも一緒に電子書籍を読んでみたのですが、読むというところに関しては割とアクセシブルに読み上げはするんですけれども、そこに到達するまでの本を選ぶとか、本を買うためのアプリの登録等という部分がまだ十分ではないので、やはり読書にたどり着くまでのアクセシビリティーというのが大きな課題だとは思っています。この辺の認識をされている方も国の読書バリアフリーの委員さんにもいらっしゃいますし、ちょうどこの間小学館集英社の社員セミナーというのがあって、それをオーテピアの方にも取材に来てくれて、その社員セミナーの研修講師も私がさせていただいたんですけれども、出版社とか情報提供側もそういった読書バリアフリー等についてずいぶん関心を持っているところもありますので、結構未来は明るいんじゃないかと思っています。そういうことで電子書籍やオーディオブックを使えるようにするためのサポートもこれからもうちょっと力を入れてやっていきたいと思っていますので、是非またご協力の方よろしくお願いします。 会長:ありがとうございました。なかなか参考になります。  委員、お願いします。 委員:先ほどの前館長、館長のお話、全くその通りだと思います。しかし、テクノロジーが進化すればするほど、視覚障害者間の情報格差がものすごく出てきます。機器の扱い方や機器へのアクセスもそうですが、たとえば高知県内の視覚障害者で考えると、高齢者でスマホが扱えるなどという人は50パーセントもいないと思います。それは若い方たちはある程度使えるのかもしれませんが、テクノロジーの進化イコールスマホについていけることというような位置づけになっている今、私たち組織としても行政としても真剣に考えていかなければいけないのかなと思っています。  先ほど私は、何か新しいことに取り組む際には、きっかけになる体験をすることが大事だと申し上げましたが、これは感謝の気持ちを込めた発言として受け止めていただきたいんですが、私がこの声と点字の図書館の運営協議会に参加させていただいた中で、今日が一番感動しました。それは、前館長から磁器ループをご紹介いただいて、実際に使ってみませんかとお持ちいただき試したところ、全てがクリアに聞こえて自分の人生が変わるほど感動したんです。磁器ループという言葉そのものは知っていたんですが、これまで使うきっかけがなかったために体験することがありませんでした。ですから、聞こえなかったものが聞こえるようになる、読めなかったものが読めるようになる体験、そういった環境は、人と人とのつながりというきっかけがあって初めて喜びや満足感になると思うんです。  読書バリアフリーも同じことで、言葉は知っていてもきっかけがないからそれを望んでいる人たちに喜びや満足感がいまいち届いていないんじゃないのかなということで、朗読ボランティアの方々の協力をということで先ほど申し上げた次第です。以上です。 会長:ありがとうございました。聞こえの問題というのは本当に大事なことだと思います。障害のある方だけではなくて、だんだん年齢とともに聞こえにくくなっていく方々がいらっしゃる中で、そういった技術がもっともっと使われるようになるといいなと私も思います。ありがとうございました。  他にはございませんでしょうか?委員、お願いします。 委員:次に、プレゼンテーションと三者交流会についてです。  たとえば、私たちは本屋さんで立ち読みをすることができないので、どんな面白い良い本があるかが分かりません。こんな面白い本があるよということを知らせるという意味でのプレゼンテーションなんですが、その方法があるのかどうか。そのことをお聞きしたいと思います。  その一つの手段が三者交流会です。先日コロナ明けでようやく行われた三者交流会の中で、利用者さん同士がこんな本を読んで感動したということで私も参考になりました。これも利用者団体で三者交流会をしっかりやってほしいと要望しているんですが、これも何か工夫がいると思うんです。この前の9月に行われた三者交流会も、話す人は話すけど話さない人は話さない。三者交流会の運営についても、皆が参加しやすくなるような工夫の検討をしていただきたいと思っています。たとえば、視覚障害者全員が参加しやすくなるようなワークショップとか。私は、視覚障害者みんなが参加できる、だいたい30人から40人を5グループほどに分けてやる避難所運営ゲームというのをやったことがありますが、そうした形で高知で震災があった際視覚障害者をどう守るかといったことについてみんなで知恵を出し合う場を作るとか、そういった交流会の工夫についてご検討いただければと思います。 事務局:貴重なご意見ありがとうございます。  まず三者交流会に関して、コロナが明けて久しぶりに開催させていただきましたけれども、何かやはり利用者の皆さん、職員、それからボランティアさんみんなが一緒に参加できるような、もっと何か工夫が必要かなと私個人も思っておりました。藤原委員から貴重なご意見を頂きましたので、防災のことなども含めてまたいろいろ工夫をさせていただき、実施をさせていただきたいと考えております。  それから、プレゼンテーションに関してですけれども、口コミという言葉が適切かどうかは分かりませんが、口コミの大切さは実感しているところです。つい最近も新規利用登録の方から、お友達から聞いたというところから利用に至った方がいらっしゃいました。あの方から聞いたから利用してみようというのは本当に大事だなというのは日々感じているところです。  それで、読書に関してこういう本が新刊で出ましたというようなことにつきましては、今のところ広報誌の『すばる』での発信が中心となっておりますので、もしそれ以外の何か方法が見つけられましたらまた何か広がりというのもあるかもしれませんので、逆に何かそれに関するご意見など頂けましたら参考にさせていただきたいなと思っております。 委員:委員さん、音訳の方から時々こんな本が良かったと聞くことがあるんですが、一言頂けませんか? 会長:委員。 委員:対面音訳であれば、新聞の読書紹介を聞いていただくこともできますが、それ以外となると、利用者さんとボランティアの関係性として、距離が離れていることが一つ問題だと思うんです。人と繋がりたいなどということが新聞でも取り上げられておりますけれども、いかに繋がりを作っていくかというのが大切だと思うんですね。  音訳の観点で申し上げますと、声には、文字にはない力があると思うんです。実は文学館で、長い間、人があまり来ないから、どうしようといったご相談を受けまして、そこで朗読の会を立ち上げました。今も後輩たちの力で良い形で続いております。  ですから、ここ、声と点字の図書館でも、声を活用して、利用者さんを巻き込む形で繋がりを作ることができれば、さらに利用者さん、ひいては情報の輪も広がっていくのではないかという気がしています。一度、館長さんに、紙芝居や劇などをやってみてはと、集客のご提案をしたことがありますが、考えてみますとおっしゃいました。手法はともかく、もう少し繋がり方を考えていかれると良いかなと思っております。 会長:ありがとうございました。いろいろな立場の方が参加することによって、つながりが出てくるのではないかといったそんなお話だったかと思います。ありがとうございました。 委員:委員さんのおっしゃるプレゼンテーションというのは、どんな本があるかといったそういうことですよね?たぶん見えている人でも、本の情報というのは何もしなければ入ってこないものだと思うんです。興味がないと、調べに行かないと、本屋さんに行かない限りは手に入らないものだと思うんで、アクセスしづらい視覚障害の方にこんな本があるよとお伝えすることはとても重要なことなんじゃないかと僕も思います。  自分たちもこれまで全然本を読んだことがないという新規利用登録者の方に本のお試しを勧めるとき、お勧めは何と訊かれるとすごく困ることがあります。それはまさにプレゼンテーションの部分で、本を紹介するというのは非常に思想的なものをはらんでいるし、個人的な好みにかかわってくるので結構考えるんですよね。そんなとき、いつも図書館の司書さんに丸投げしてしまうんですが、司書さんがいるので是非相談してみたら良い本に出会えるかもしれませんよという風にお伝えして、声と点字の図書館の司書さんにおつなぎして選んでもらうということをしています。 自分が新しい本に出会うのはどこだろうと考えると、本屋さんよりインターネットで見ている方が多いかなと思うんですが、視覚障害の方も利用できるメディアとなると、ラジオのRKCでブックランキングをやっているんです。それはもちろんサピエに上がっているかどうかは調べなければいけないんですが、金高堂かどこかのブックランキングをやっていて、それを基にAmazonで詳細を調べて、電子書籍で買ったことは一度ならずあります。ですので、そういう民間の本屋さんなんかとも連携して『すばる』に載せるとか、そういうことも考えられるんじゃないかなと思います。 会長:ありがとうございます。  委員、どうぞ。 委員:BSテレ東でやっている「あの本、読みました?」という番組が、本の紹介としてはとても良いです。その本を書いた人が実際に出て、こんな思いで書きましたとかいうのがあるんで、本の紹介としてすごく良いなと思います。単なる本の紹介じゃなく、書いた人や編集した人が出て本の紹介をしてくれるので、これはなかなか良いと思います。以上です。 会長:ありがとうございました。そういうのもあるんですね、全然知りませんでした。 他にございませんか? 委員:私は今現在も対面音訳を頻繁に利用させていただいていて、特に先天の視覚障害者の人たちに対面の面白さを紹介し、もし来館が難しければスカイプやフェイスタイムといったリモートでやる手もあるよと言って紹介するんですが、視覚障害者の間には対面など利用しなくてもサピエで十分というような声もあり、私はこれを問題視しています。この件について、委員さんに打開策などご意見をお伺いしたいのですがいかがでしょうか? (委員から発言なし) 会長:会長としてこの件に関する発言ができるだけのものを持ち合わせておりませんので大変申し訳ないのですが、そういった知識や情報を福祉専門職の方などを通じていけばもう少し伝わりやすくなるのかもしれません。ただいまの委員のご指摘に関して、今後また委員の皆さんにもお考えいただければと思います。 委員:私は、情報がいかに少ないかということをすごく感じています。たとえば、自分が挑戦しようとしている社会保険労務士の教材を手に入れようとしたとき、障害者差別解消法に基づいてデータ提供を得ようとしても難しく、情報の少なさという点で大きな壁に当たっています。その意味で、それだけ視覚障害者にとっては情報のない過酷な状況にまだまだあるということです。 会長:他何かございませんか? 委員:以前、対面朗読でお茶が提供されていたと思うんですが、コロナ禍で中止になってしまいましたが、再開はされないんでしょうか? 事務局:あのお茶は、以前はボランティアさんに対してお出ししていたものと聞いております。好みもありますし、今は飲まれる方は各自でご準備頂いていますので、お茶の提供は差し控えさせていただきたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 会長:ありがとうございました。他にございませんか?  それでは私から、一番最初にご質問のあった利用者の年代別というお話ですけれども、10代の方が40人登録されているというのは、どういう経路をたどって利用につながっているかということを参考にお聞かせいただけませんでしょうか。 事務局:学校関係者や、放課後等デイサービスからもありましたし、発達障害関係の啓発イベントに参加させていただいたときに繋がったケースもあります。もちろん福祉機器展などでもご覧になって利用申し込みを頂いた方もいますので、いろいろなところに出前図書館をさせていただいた中で繋がったケースが多いです。 会長:ありがとうございます。  それと療育での取り組みではどういう方が多いのか、肢体不自由が多いのか、発達障害の方が多かったのか、どんな感じですか? 事務局:今回は、職員さん向けの会議に参加させていただきました。療育福祉センターをご利用の方というと、やはり発達障害や肢体不自由のお子さんが中心ですので、そういう方へのPRということで説明にお伺いさせていただきました。 井上会長:ありがとうございました。また機会を見てやっていただければと思います。そうしたお子さんの親御さん、保護者が集まっているときなどの機会を利用していただければ、そのあたりから口コミで広がっていくなどということもあるかもわかりませんので、取り組みを続けていっていただけたらと思います。ありがとうございました。  あと、児童発達支援センターとか、児童デイといったところから広がっていけばいいかなという風に思ったところです。ありがとうございます。他に、ご意見、ご質問等ございませんでしょうか? 委員:録音図書再生機等の利用申請件数と、実際の図書館の利用者数とは必ずしも一致しないと思うんです。ですから、声と点字の図書館としてそうした機器を利用申請した後のアフターフォローというか、利用されているかどうかの情報入手にも努められると良いと思います。  私自身も三年ほど前にリンクポケットを申請しましたが、二年ほど利用した後で押し入れにしまってしまいました。それから一年ほど空白があって、AOKのマイブックで再びデイジー図書を聞き始めるという流れになっています。そのように、今現在の登録者数と利用者数が必ずしも一致しないから、点字図書館でも登録後の利用者の情報を入手できれば良いのかなという気がしていますが、館長、いかがでしょうか。 事務局:委員さんのおっしゃる通り、登録いただいている方と現在の利用者数というのは相違がありますので、現状を把握していくというのはとても大事なことだと思っておりますし、フォローも大事だと考えておりますので、今後取り組んでいきたいと思っております。ありがとうございます。 会長:ありがとうございます。他にはございませんか?  もう一点読みたい本に関することで、たとえば最新のもので新聞の下の欄に載っているものなどを見ますと、買ってみたいなと思わされるんですが、そういう発刊されたばかりのものがデジタル図書になるまでにどれぐらいのタイミングになるのか、あるいはならないのか、そのあたりを教えていただければと思います。 事務局:だいたい発刊されてから平均的に早いところで三か月ぐらいでできます。中には六か月や一年というのもありますけれども、人気の図書などは利用者さんからまだできないのかといった問い合わせがあってどこの図書館でも割合早くできていますが、やはりどうしても発刊されてからそれぐらいはかかると言われております。ですから平均三か月、ものすごく早くできて一か月というような場合もありますけれども、だいぶ遅れてできます。しかし、先ほどもサピエで十分というようなお声もありましたけれども、いわゆる娯楽目的の読書と言いますか、楽しむための本についてはかなり充実しているというのは確かだと思います。直木賞や本屋大賞、有名作家のものなどはほぼどこかの図書館が作っています。ただ、どうしても何かを調べたいとか、勉強に使いたいとかいった専門的なものになるとなかなかないので、専門書に関してはほしい本がないといったことはあると思います。 委員:それはどれくらいの人数で分担して作っているんでしょうか。 事務局:急ぐ時には3、4人で分担して作っております。 会長:そのようなタイムラグがあるにせよ、デジタル図書の場合、読めるようになりましたよといったお知らせはどのようにして伝えられているのでしょうか。また、デジタル図書にも貸し出し中といったことはあるのでしょうか。 事務局:ありがとうございます。サピエ図書館ではインターネット上で図書検索ができますので、製作中であれば着手中といった形で表示され、でき上がればその場でデータをダウンロードすることができます。ですから探している方はそこでできてるできてないが分かるようになりますし、一応製作完成予定日というのも出るようになっていますので、だいたいのでき上がりの目安は分かります。サピエ図書館の検索ページはどなたでも入れますので、是非一度ご覧いただければと思います。  また、貸し出し中という状態があるかどうかについてですが、貸し出す際には先のサピエ図書館からデータをダウンロードして貸し出す形を取っておりますので、どなたかに貸し出しているので貸し出せないということはございません。 会長:ありがとうございました。  そうした製作中や完成の情報だけでなく、できればあらかじめ利用されている方々の思考や好みを聞く中で、それに該当しそうなものがあればプッシュ型でも情報を提供していくというのも面白いのではないかなという気がいたしました。もちろん、問題のない範囲でということですけれども。それについてもまた構わない範囲で検討していただければなと思います。  他にございませんか? 会長:ありがとうございました。  時間が参りましたので、ここで審議を終了いたします。今回、本協議会で出された意見は、今後の取り組みに生かしていただきたいと思います。以上を持ちまして、本日の審議を終了いたします。ありがとうございました。