令和5年度 第2回高知 声と点字の図書館運営協議会 日時:令和6年2月29日(木曜日) 午後5時から午後7時まで 場所:オーテピア4階 研修室 出席者 委員長 高知県社会福祉協議会 常務理事 井上 達男 副委員長 高知県眼科医会 副会長 濱田 佳世 委員 有識者 元障害者支援施設長 上田 真弓 点訳ボランティア団体 高知ブライユの会 代表 小野 ちづる 高知県身体障害者連合会 視覚障害生活訓練指導員 金平 景介 高知県視覚障害者協会 会長 中島 正美 高知県立盲学校 校長 中野 直喜 高知県視力障害者の生活と権利を守る会 副会長 藤原 義朗 音訳ボランティア団体 高知朗読奉仕者友の会 会長 松田 光代 NPO高知県肢体障害者協会 副会長 松本 誠司 事務局 声と点字の図書館 館長 西岡 和美 副館長 都築 靖子 再任用副主幹 坂本 康久          事務局関係機関 高知市教育委員会 市民図書館長 髙石 敏子 高知県教育委員会 高知県立図書館長 杉本 幸三 高知県子ども・福祉政策部 障害福祉課 課長 森木 博也 高知県子ども・福祉政策部 障害福祉課 課長補佐 公文 雅貴 1.挨拶 (会長) 2.議事 1 令和5年度の取組み(成果報告) (事務局より説明) 会長:ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、ご意見・ご質問等ございませんでしょうか?   委員:利用登録人数に関しまして、目標もしっかり達成されていますし、相談員さんとのお話もできているということで、徐々に浸透してきているようです。その点は上出来だと思いますが、実際の高知県内の身体障害者手帳を持つ視覚障害者は2,700人で、推定人数では、さらにその20倍とも30倍とも言われておりますので、数値目標としてはさらに上を目指していただきたいと思います。 さて、質問です。対面音訳の利用者が自分で点字図書館へ通うことができるかという問題があります。視覚障害者団体の行事などでも、所属する方々が徐々に高齢化してきて、一人では歩いて来られない、ヘルパーさんと一緒でなければ来られないというようなケースが増えてきています。そこで、対面音訳に際して、一人で来られない方にはどういう対応をしているのか、電話やフェイスタイムなど、どのような手段で実施しているのかについて伺いたいと思います。 事務局:貴重なご意見をありがとうございます。対面音訳の利用者さんに関してですが、来館される方の場合は、同行援護サービスと言いまして、視覚障害者の外出を支援するサービスがありますので、そのサービスを利用して来館されている方もいらっしゃいます。また、電話での対面音訳やスカイプ、フェイスタイムなどのオンラインを使って対面音訳を利用されている方もいらっしゃいます。   委員:電話やフェイスタイムについては、さらに宣伝をしていただきたいと思います。コロナ禍では、私もフェイスタイムを使って対面音訳していただき、大変助かりました。 同行援護についてですが、高知県だけでなく、全国的にも同行援護ヘルパーがだんだん足りなくなってきています。なかには、同行援護ヘルパーさんと点字図書館に行きたかったが、ヘルパーさんの都合がつかなかったというような話も聞くようになりました。そこで、たとえば、同行援護ヘルパーさんで、読める方には音訳の研修を受けてもらって、オーテピアに同行援護で来た際に、今度は図書館の音訳者として2時間、対面音訳をしてもらい、それが同行援護の中に反映されるようなやり方なんかも検討していただきたいと思います。ヘルパー事業所としては、そのような2時間を中抜きと言うんですが、こういった同行援護として算定できないものを事業所はすごく嫌がるんですね。ですので、そういう2時間は、音訳者として図書館の仕事をするという形も検討していっていただきたいと思います。電話やフェイスタイムもいいですが、実際に図書館へ足を運ぶことによって、新しい機器との出会いなどもあるわけですから、オーテピアへ通ってきやすい足作りについてもご検討いただければと思います。 事務局:そういう方の事例が出ました場合には検討させていただきたいと思います。ただ、同行援護事業者側のこともありますので、こちらが一方的に「やります」とはちょっと言いづらい部分が多いかなと思います。でも、貴重なご意見をありがとうございます。 委員:私は以前、この会合に参加するにあたり、不安を覚えておりましたが、最近、安心して参加できるようになりました。というのは、私が拡大ルーペで文字を見ている中で、資料などが見えにくくなったと館長にご相談したところ、速やかに、文字のフォントを大きくしてくださいました。こういったことこそがバリアフリーではないのかと思った次第です。声と点字の図書館の方々には感謝しております。ありがとうございます。 さて、館長にお伺いしたいのですが、高知県内の視覚障害者は2,700人ということでしたが、私達の組織でも高齢化が進んで、私も含めて難聴者がものすごく多くなってきているんですね。そこで疑問を持ちましたのが、盲聾者に対し、声と点字の図書館はどのような対応をされているのかということです。また、利用登録者の中に、そのような方々がどれくらいの割合でいるのでしょうか。 事務局:盲聾の方の登録数に関して、きちんとした数は出していないんですが、思い当たる方で、数人いらっしゃいます。それで、そういった盲聾の方に対しての声と点字の図書館の取り組みということですけれども、コミュニケーション手段という点に関して申しますと、その方がどういったコミュニケーションを取れるかによっても大きく変わってくると思います。全聾なのか全盲なのかにもよりますし、難聴なのかロービジョンなのかでも変わります。大きく四つのパターンに分けられますが、ロービジョンで難聴の方、ロービジョンで全く耳の聞こえない方、全盲で難聴の方、それから、全聾で全盲というパターンです。その方々の障害の状態によってサポートする方法は変わってくると思うんですね。ロービジョンの方なら拡大本などでも十分に利用できるかもしれないですし、全聾・全盲の方で点字を読める方なら点字本になるでしょうし、実際に、ある方は、メールでリクエストをいただいて、点字本を送るというようなこともしておりまして、その方に応じた対応をさせていただいております。今後も、それぞれの方に一番良い状態でご利用いただけるように努めていきたいと思っております。 委員:ありがとうございました。障害にも軽度、中度、重度と段階があるわけですが、盲聾者も読書困難者であるわけですから、その方の障害に応じた真摯な対応をしていただければと思います。 次に、利用登録者間で、一年に一度か、二年に一度でも、読書懇談会のようなものを開いてみてはどうかと考えたのですが、いかがでしょうか?そういった交流が新たな利用者を呼び込むきっかけにもなるのではないかと思います。委員の皆様のご意見をお伺いしたいです。 会長:いかがでしょうか? 委員:以前は三者交流会という形でやってらっしゃったと記憶しています。それはとても良いことだと思いますし、オーテピアで開催しているルミエールフェスタの中でという形でもいいですし、何らかの形でやれれば、新規利用登録にも繋がるかもしれませんし、やり方については今後話し合っていく必要があるでしょうが、会そのものについては賛成です。 委員:コロナ前までやっていた三者交流会はとても楽しみでした。利用者同士で図書館利用のコツ、こんな利用の仕方があるんだというような情報交換ができるのがすごく楽しみでした。また、録音図書を製作する音訳者さん同士は交流することがあっても、対面音訳だけやっていらっしゃるボランティアの方同士の交流は無いとか、対面音訳を利用している利用者同士では交流が無いといったことも聞いたことがありますし、そういう方達が交流できる機会を設ける意味でも、ぜひ会の復活を期待したいと思います。 会長:ありがとうございました。他の委員の皆さんからもご意見をいただきたいと思います。委員、いかがですか? 委員:自分が参加したことがないのでよく分からない部分もありますが、ボランティアさんと利用者さんの繋がりというのは大事だろうと思います。特にボランティアさんは高知市近辺の方が多いんですよね?ボランティアさんを県下に広げて、郡部でも活動していただけるような環境づくりをするためにも、また、郡部で新規利用者の登録を促すためにも、そういう会での交流を通じて、繋がりを作っておけば、たとえば、すぐに点訳をしてもらうのは難しくても、対面音訳なら可能性があるなどといった形も出てくるかと思いますので、交流の場を持つのは良いのではないでしょうか。   会長:ありがとうございました。委員さんのおっしゃられるように利用者さんとボランティアさんとの交流というのはすごく大事なことと思うのですが、委員さん、いかがでしょうか? 委員:オーテピアができてからコロナ禍でいろいろな活動が制限されてしまう前までは、とても良い雰囲気だったと思っております。利用者さんの声を聞くということが、特に、点訳ボランティアの場合は、基本的に一人での作業ですから、無いんですよね。ですから、もう少し皆で声を出して笑いあえるようになれば、また館が三者交流会を開いてくれるのではないかと期待していますし、そうなると思っています。 会長:もうお一人だけご意見をお伺いしたいと思います。委員さん、いかがでしょうか? 委員:委員さんのご意見に賛成です。人と人が出会うことによって素晴らしいアイディアが生まれたり、いろいろな良いことがありますから、コロナが落ち着いたら、ぜひやっていただきたいと思います。音訳ボランティアになるには養成講座を経てということで、多くの方が参加できるわけではないですが、それとは別に、交流会をしたり、館内の案内をしたり、図書の案内をしたりといった形の、資格を緩くした、畏まらないボランティアの集団を作ってみてもいいのではないかと考えております。 会長:ありがとうございました。委員の皆さんからご意見を頂戴しましたが、委員さん、いかがでしょうか?   委員:三者交流会が以前にはあったということを、今日初めてお聞きしました。コロナも少しずつ落ち着いてきて、今後はまた前向きに活動していかれるんだろうと思います。今日ここで議題にするつもりはありませんが、視覚障害者がそういった会に集まりづらいことの原因は、先ほど委員からもありました、同行援護のヘルパーさんの問題もあるように思います。参加したいけど参加できない、そういった問題についても今後検討していく必要があるのではないでしょうか。いずれにしましても、先ほど申し上げたような読書懇談会の開催を希望して私の話を終わります。 会長:ありがとうございました。こういったお話を受けて、館長からお答えいただけるところがありましたらご意見をお聞かせください。 事務局:実は三者交流会につきましては当館内でも相談しておりまして、これまでコロナでできておりませんでしたが、来年度はやりたいねという話は出ておりますので、また実施に向けて具体的に動いていきたいと思っております。ご提案ありがとうございました。 会長:同行援護の問題については、障害福祉課さんから、差別解消条例なんかも今回、制定に向けて県議会に出していただいておりますけれども、同行援護が実際減っているかどうかとかいう状況も含めて、把握されている範囲で、今ここでお答えいただけることなどございますでしょうか? 委員:障害福祉課さんが資料をご覧になられている間、私が代わって申し上げますが、同行援護に関して私の感覚的範囲で申し上げますと、私は高知市以外の高知県内を訓練・訪問相談にまわっていますが、西は須崎より向こうはほぼいらっしゃらず、お一人かお二人、東は安芸より向こうはほぼいないといった状況です。安芸でも事業所は一つか二つありますが、それに従事できるかどうかという問題もあります。他の訪問介護ヘルパーさんと同業でやっている状況ですので、事業所目線で言うと、同行援護を引き受けにくいといった根本的問題もあるのではないかなと思います。 私は利用者の方の単独歩行を目指して歩行訓練をしますが、どうしても同行援護を利用したいという方も大勢いらっしゃいます。ですが、制度はあるけど担う人がいないといった状況は10年変わっていないように思います。 会長:ありがとうございます。いかがでしょうか、課長。 高知県障害福祉課課長:今、委員がおっしゃられたように、地域格差、事業所の地域偏在というのがあります。今年度、障害福祉計画というサービス提供体制の整備にかかわる計画を作成していて、県内トータルで、利用者としては122人が使っておられ、一カ月当たり延べ1,833時間使っておられる状況です。 今後の見通しを市町村のほうにも確認してみると、140人ぐらいが利用し、一カ月当たりの使いたいというご希望が2,000時間を上回っていると伺っております。 人材の確保に努め、必要なサービスを確保できるように計画を作成してまいりたいと思っております。 会長:という数字があるようですけれど、実感としては、先ほど出た地域偏在など、数字には出てこないところが結構あるのかなと感じます。 それでは、その他、令和5年度の取り組みについてご意見のある方お願いします。 委員:サピエ図書館の利用状況、登録者数の状況を見て、昨年度から4人しか増えていませんが、もっともっと増えてもよいのではないかなと感じています。スマートフォンの一般への普及率、視覚障害の方への普及率みたいなものも影響しているのだと思いますが、もっともっと増えるべきものだと思っています。サピエ図書館のことを知らない方も結構いらっしゃると思います。サピエ図書館は、スマートフォンの利用に繋がる重要なものだと思いますので、ぜひ、「すばる」などの広報を通じて、サピエ図書館利用の普及もお願いしたいと思います。 事務局:ご意見ありがとうございます。「すばる」などでPRしていきたいと思いますし、当館に利用登録いただいた方にも積極的に、ご自宅のインターネット環境がどうであるとか、スマホ、タブレットをお持ちかどうかなどお伺いして、紹介をしていきたいと思います。 会長:よろしくお願いします。他にございませんか? 委員:図書館の利用登録の際の携帯電話番号の登録についてです。熊本地震の後、熊本県立点字図書館の館長と話をしましたが、災害が起きた際の視覚障害者の支援に関しては、結局、点字図書館が鍵になったということです。能登地震では、輪島市には事業所が一つしかなく、視覚障害の専門家はいないので、避難しても、数日で皆さんいなくなったということなんです。東北の地震の時よりも大変な状況がこれから出てくると思います。 さて、その視覚障害者とのパイプなんですが、視覚障害者団体に加入登録されている方は視覚障害者の中のほんの一部です。視覚障害者の登録が一番多いのが、実は、点字図書館なんです。500人というのは大きな数ですし、それぞれの利用媒体もわかっている。今回の石川の地震で、それぞれの団体や図書館が視覚障害者に連絡を取ろうとしたところ、固定電話の多くが通じず、携帯電話が分かっている人は安否確認ができて、少しずつ対応ができたとのことです。ですので、図書館への利用登録の際には携帯電話番号もお聞きして、登録していただくようお願いします。以上です。 事務局:現在も、利用登録の際には、連絡がつきやすい電話番号ということで、携帯電話番号やご家族の携帯電話番号などもご登録いただいております。今後は、パイプ役という意味も含め、抜かりないよう登録を進めていきたいと思います。貴重なご意見をありがとうございます。 会長:他、よろしいですか? 委員:県外の方の利用登録がこんなにもあるのはなぜですか?県内市町村の方の登録が少ない中、なぜこのように県外の方の登録が多いのかを教えてください。 事務局:昔の経緯もあるので私からお答えします。実は、昔、点字図書館は、全国どこの県の点字図書館でも利用登録できるということがありまして、この県外の利用登録者というのは、その頃に登録された方達です。 現在は、サピエ図書館ができて、全国どこの図書館からでも最寄りの図書館を通じて借りられるようになっていますので、10年前からは基本的に利用登録は地域の図書館にすることとなっています。けれども、サピエ図書館ができるまでは、他県にしかない図書を借りるには、個人が直接その図書館に利用登録をしなければ借りることができませんでした。その当時、高知点字図書館に利用登録をした89人が残っていますが、そのほとんどの方は現在利用がなく、実際に利用のある方は20人前後です。今後、人数が増えることはございません。合わせて言いますと、この利用登録者数というのも、いろいろ累計されていまして、なかなか整理が出来ていなくて、すでに死亡された方なども含まれています。その辺の整理を今後していかなければいけないと思っております。 会長:他にはよろしいですか? それでは、残り時間の関係もありますので、議事の2に移らせていただきたいと思います。事務局から令和6年度の実施計画案につきまして説明をお願いいたします。 3.議事 2 令和6年度実施計画 (事務局より説明) 会長:ありがとうございました。委員の皆様からのご意見、ご質問をお願いいたします。 委員:サピエ図書館のオンラインリクエストについてのご説明をお願いします。全国で音訳されているにもかかわらず、多くの図書がサピエ図書館にアップされておらず、それらをダウンロードすることができません。その場合、オンラインリクエストを行って、図書館を通じて借りることになるわけですが、そういった図書を新たにサピエ図書館にアップしてもらうのには、高知の選書会に推薦して、高知の点字図書館で音訳してアップするのか、あるいは、もっとオンラインリクエストなどを充実させて活用すべきでしょうか? 事務局:サピエ図書館を利用されていない方には分かりづらいかもしれませんので改めてご説明しますと、サピエ図書館には大きく分けて二つの機能がございます。まず、点字図書や録音図書、マルチメディア図書といった障害者用資料の総合目録としての機能です。日本全国の図書館に所蔵されている障害者用資料を検索できる総合データベース的な機能、書誌情報の総合目録としての機能です。障害者用資料が全国のどの点字図書館・公共図書館に所蔵されているかが分かるようになっています。 それともう一つは、データ送信サービスというものがあります。こちらは、優良コンテンツと言いますか、サピエ図書館の基準に合格した点字図書・録音図書などはサピエ図書館のサーバーにデータがアップされておりまして、そのデータを各図書館や個人がダウンロードして使えます。 委員さんがおっしゃられた、サピエからダウンロードできないものがあるというお話は、サピエ図書館の基準をクリアしていないなどの事情からデータがアップロードされておらず、各図書館がCDなどの現物により保管している障害者用資料があるということです。それらのダウンロードできない資料につきましては、サピエ図書館のオンラインリクエストという機能を使い、利用者の登録図書館から資料を所蔵している図書館にCDなどの現物送付を依頼します。その後、届いた資料を、利用者の登録図書館から利用者にお送りするという仕組みになっています。 視覚障害者の方が書誌のデータベースをキーワード検索して目的の本を探し出すというのはなかなか難しいですので、そういう時には、当館にお電話をいただければ、当館の司書がいろいろお聞きしながらサピエ図書館を検索して、こういった本がありますという紹介をして、ご希望の本を他館へオンラインリクエストすることもできますので、ご自分で検索して本が見つからない場合は、ぜひ、当館にご相談いただきたいと思います。 委員:総合目録の数と、アップロードされている資料の数の差は分かりますか? 事務局:アップロードされているものは、ほぼ重複がありませんので、だいたいの数が言えますが、書誌は同じタイトルが重複して登録されているものもあるため、両方を比べて差がどれぐらいだとは申し上げにくいところです。 委員:状況は分かりました。わたくしのように、オンラインリクエストをおおいに活用したいという方もいらっしゃると思いますので、オンラインリクエストというものがありますので、ぜひ利用してくださいという宣伝と、オンラインリクエストができる指導についてもよろしくお願いします。 会長:その他にございますか? 委員:国会図書館とサピエ図書館との関係をお教えいただけませんか? 事務局:ご質問ありがとうございます。実は、国会図書館でも視覚障害者等データ送信サービスというのをやっておりまして、この仕組みはサピエ図書館と同じです。データ送信も目録検索もできるシステムです。こちらには、おもに、国内の公立図書館が作った点字図書や録音図書、マルチメディアデイジー図書が登録されております。 サピエ図書館のほうは、おもに、点字図書館が作ったものになりますが、それにプラスして、国立国会図書館のデータ送信サービスとも連動していますので、国立国会図書館の視覚障害者等データ送信サービスに登録されている資料も全て使えるようになっております。そういった形で連携されておりますから、サピエ図書館に利用登録すれば、国立国会図書館の障害者用資料も使えます。ただし、サピエ図書館に加盟施設として登録した場合、年間4万円の負担金が必要となります。 国立国会図書館の方では、サピエ図書館に登録されている資料は使えず、国立国会図書に登録されている資料しか使えませんが、その分、無料で利用できるようになっております。ですので、予算が少ない市町村図書館などには、とりあえず、国立国会図書館のほうのデータ送信サービス「みなサーチ」という、すごく検索しやすく、分かりやすいホームページがありますので、そちらを使って読書バリアフリーサービスを始めてもらうよう当館では働き掛けています。 会長:委員、よろしいでしょうか? 委員:はい。 会長:他にはございませんか? サピエ図書館の利用者数をいかに伸ばしていくかについては、若い人への普及も大事だと思います。そこで、突然で申し訳ありませんが、盲学校の委員さんにお尋ねします。サピエ図書館への登録は年間4万円必要ということですが、かつて、私が県職員だった時、教育委員会の予算を取るのに、4万円でも非常に厳しかったと記憶しておりまして、そういったことを考えますと大変だろうとは思いますが、生徒さんへの普及の方策などについて何かご意見はございませんでしょうか? 委員:予算的に非常に厳しい問題です。点字教科書を買うのに1、2万円かかるのですが、それだけでも四苦八苦している状態です。しかし、先ほどありましたように、小さい時から図書館と繋がっておくことは、卒業してからの繋がりにも反映されますので、大切なことだと思います。それは図書館のことだけでなく、スポーツ関係でも、盲学校だけでなく特殊学校では卒業後の余暇活動というのが一つの課題になっておりまして、先ほどありましたように、一人ではどこへも出かけられない、春野のスポーツセンターに行けないなど、そういったところをどうしていくかというのも課題です。 先ほど三者交流会の話もありましたが、イベントなどをコロナ前の状態に戻していくというのは、なかなか馬力のいることです。けれど、生徒達のために頑張っていかなければならないと感じております。本日も、明日の卒業式を迎えるにあたり、キャリア教育という授業の一環として、飛び入りで、卒業生の堀内佳さんに来ていただいて、生い立ちからいろいろ話をしてもらい、歌も披露していただき、非常に中身の濃い時間になりました。 若い時から図書に親しんで、卒業に繋がっていけばいいかなと考えております。以上です。 会長:ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 広く網をかけるようなPRも大事ですが、先ほど、事務局からの説明でありました、セラピストとの連携ということで、そういう専門職のルートを辿るというのも大事なのではないかと思いました。委員、何かご意見などございましたらお願いいたします。もちろん、これ以外のことでもかまいません。 委員:前回、ここでお話をさせていただいてから早々に、館長が訪問リハの方と連絡を取られたということで、何らかの形に繋がるのではないかと考えております。 それとは別の質問になるのですが、資料の「視覚に障害のある人の生活を支援する情報提供の充実」というところで、相談内容の項目の中に「その他」とありますけれども、これはどのような内容があったのでしょうか?また、それが点字図書館で対応できないような内容だった場合、他機関へ繋げれば、その機関との連携が生まれ、関係先がどんどん広がっていくのではないかなと思うのですが。 事務局:ありがとうございます。この「その他」に関してですが、図書利用のこと、読書情報機器関係のこと、福祉機器相談など、これらの項目に当てはまらないものをまとめて「その他」としています。内容としては、たとえば、対面音訳サービス時にご相談いただいた内容であったり、YouTubeに関するご相談であったりなどです。 また、他機関との連携ということですけれども、福祉機器相談に関しても、読書情報機器関係にしても、必要であれば、必ず、他機関と連携を取るようにしています。たとえば、福祉機器相談や福祉サービス関係で、高知市以外の利用者さんのことで相談があった場合は、当然、ルミエールサロンさんに繋がせていただきますし、高知市の障害福祉課との係わりがあった方がよい場合は、障害福祉課に同行訪問してもらう、あるいは、障害福祉課単独での訪問を依頼するといった形を取らせていただいています。これら以外の内容でも、必要であれば、関係機関への紹介をさせていただいております。 会長:委員、特に補足等ございませんか? 委員:ございません。ありがとうございました。 副会長:その相談の時には、「高知家のいっぽ」、高知県のロービジョンケアの紹介リーフレットですけど、それを利用して相談してきた方も結構いるんでしょうか? 事務局:去年の実績でいくと、10件の方から相談がありまして、それについては報告させていただきました。ただ、リーフレットを貰っているけれども、リーフレットを持たずに来館される方もいます。去年のことでしたが、二年前に紹介を受けたけれど、当時はコロナが流行していたために来館できず、今やっと来れましたという方がいらっしゃって、拡大読書器を見ていかれたということもありました。そのような状況です。 副会長:ありがとうございます。もうちょっと多いかと期待していましたけど・・・。まあ、でも10件でも来ていただいて良かったです。 会長:他にはございませんか? それではわたくしからお尋ねします。令和6年度の実施計画案で、読書の困難な人の読書・情報環境の充実というのが第一項目としてあり、その中で市町村図書館等との読書バリアフリーサービスの連携・協力体制の構築ということで、今回、実施している図書館同士での情報交換の場を新たに設けるというお話ですが、それは新たな試みとしてすごく有意義で、得られるものも多いのではないかと期待していますが、それでは、まだ取り組んでいない図書館に対するアプローチ、働き掛けについてはどのように考えておられるのかお聞かせいただければと思います。 事務局:毎年、実施していない市町村図書館さんに対し、声と点字の図書館が読書バリアフリーサービスに関して、スタートアップのサポートをしていますということをお知らせさせていただいています。 それは継続しつつ、実際に実施している図書館さんは、利用者の拡大をどう進めていくかという同じ悩みを抱えていると思いますし、その部分を共有するということを第一に考えて、情報交換の場を設けてはどうかと思い、実施計画案に入れました。実施してみて、こういったことに悩んでいる、行き詰っているという館が、他の館から、うちの館はこういう風にしたら解決できたよといった、何かプラスになる情報を得られる場になるのではないかと考えています。 会長:時期としては、いつ頃の実施になるのでしょうか?年度後半でしょうか? 事務局:下半期になると思います。 会長:読書バリアフリーサービスの取り組みが広がることに繋がると思いますので、ぜひ、よろしくお願いします。 あともう一点、先ほど委員からお話がありました、三者会の復活というようなことは、実施計画ではどの項目に入るのか、位置付けることができるのか、当てはまらなければ項目を追加すべきなのかといった、そのあたりをお聞かせいただけますでしょうか? 事務局:視覚障害以外の障害をお持ちの利用者さんも増えてきていますので、1の「読書が困難な人」の読書・情報環境の充実の中に新たな項目を立てて、利用者さんとボランティアさんと当館との交流を図るといった形で計画に入れさせていただけたらと思います。 委員:視覚に加えて聴覚に障害をお持ちの方もいらっしゃるわけで、シンプルに「盲聾者」への支援とするのはだめなんでしょうか? 事務局:声と点字の図書館の利用者さんですが、視覚障害以外の障害をお持ちの方も登録されておりまして、たとえば、聴覚障害、盲聾の方は当然ですけれども、知的障害の方もいらっしゃいますし、発達障害の方もいらっしゃいます。その他、肢体不自由で本を持ったり、ページをめくったりすることができない方も利用登録していらっしゃいます。ですので、実施計画についても、盲聾者と特化して書くというところではなくて、読書が困難な方を対象に、交流の場を設けて、ご意見をお伺いしたり、ボランティアさんや当館との交流を深めていただくというふうにさせていただけたらと思いますが、いかがでしょうか? 会長:そういう方々へのアプローチは、なかなか伝えることが難しいかもしれませんが、県内の団体さんや関係していらっしゃる方々、先ほどセラピストのお話もありましたが、読書が困難な方々へ確実に伝わるだろうルートを確保してやっていくのが一番効果の上がる方法ではないかと思いますので、そういった形でやっていただけるようよろしくお願いします。委員さん、よろしいでしょうか? 委員:結構です。 委員:点字図書館の機能はむろん大事だと思いますが、それと同時に、公共図書館のバリアフリー化というのも、もっと進んでいくべきだと思うんです。そうすれば、いずれ点字図書館もいらなくなっていくのではないかと思います。また、市町村図書館についてですけれども、福祉に地域間格差があるように、文化面でも地域間格差があったり、町の本屋さんがどんどん無くなったりしていることを考えると、地域の図書館は大事ですし、その図書館がバリアフリー化の拠点となることが大事なのではないかと思います。今日は県立図書館の館長さんもお越しですので、その点について、ご意見をお伺いできればと思います。 高知県立図書館館長:点字図書館との役割分担の話ですけれども、公共図書館のバリアフリー機能が充実すれば点字図書館の役割が失われるのではないかといったお話がございましたが、そもそも、点字図書館は社会福祉法にのっとった社会福祉施設の扱いになります。一方で、図書館は社会教育法のもとにあり、生涯学習施設・社会教育施設という扱いになります。ですから、役割として重なっている部分もありますけれども、今の点字図書館の役割を全て社会教育施設で担えるかというと、そこはそれぞれ法律もあって、提供できるサービスも異なっていますので、そういう面ではオーテピアのように声と点字の図書館と図書館が一つの施設で連携してやっていけているというのは、ある意味、理想的な形ではないかと思っております。 一方、市町村で見た場合は、社会福祉施設としての点字図書館というのは高知県に一つで、市町村には生涯学習施設としての図書館しかないことになります。さらには、34市町村うち、図書館法でいうところの図書館が無い町村が、まだ10町村あります。図書館の無い町村はどうしているのかというと、図書館の類似施設にはなりますけれども、公民館の一部を図書室として、住民のニーズに応えています。社会福祉施設としての役割については、声と点字の図書館の方で全県的に一定、カバーをしていただいているような状況になります。ただ、地域ごとのニーズというのはありますので、本日の資料にも載っておりますが、下半期の取り組みとして、市町村図書館との連携・協力という形で、読書バリアフリーサービスの実施支援の案内と送付ということで、読書バリアフリーサービスを地域でも取り組んでくださいと、その場合には点字図書館がしっかりとバックアップしますということを各市町村にもお知らせをして取り組んでいただいています。 もちろん、県立図書館でも、県下を東部・中部・西部の三つのグループに分け、各市町村の支援協力の担当を置き、日常的に図書館サービスの支援をしております。ですので、読書バリアフリーサービスについても、当然、図書館サービスの一つとなってきますので、声と点字の図書館と県立図書館の支援協力担当とが連携しながら広げていきたいと考えています。先進的に取り組む市町村も増えてきましたので、横へも展開していきたいということで、今後も声と点字図書館と連携して取り組んでいきたいと考えています。 会長:委員、よろしいでしょうか? 委員:はい。 会長:他にございませんか? 委員:先ほど委員からもご提案がありましたが、災害対策のことで、少し機動的に動いていけないかということをルミエールとしても思っています。具体的に言うと、利用者の携帯電話番号の収集がとても大事だと思っているのと、収集した情報を災害時に使えるように制度的にも準備していくことです。声と点字の図書館でもそういった準備を進めていただけたらと思います。声と点字の図書館の利用者、約500人分の名簿というのは、とても大きなデータだと思いますので、亡くなられている方の整理なども含めて、ぜひ実施していただきたいと思います。 会長:ありがとうございます。 災害など、想定されていないようなことが起こった場合に、緊急時の支援をしていただける団体に情報を提供していいですかという同意を取っていただく、または、情報提供を拒否する場合は書類のチェック欄にチェックを入れてくださいというように、逆を聞く方法もあるかもしれませんが、ぜひ、利用者情報を災害時に使えるよう準備していただければと思います。よろしくお願いします。 まだ色々とご意見もあるかと思いますが、もし何かございましたら、直接、事務局にお寄せいただきまして、実施計画の修正については声と点字の図書館にお任せして、できあがったものを、運営協議会の会長ということで、一度、私の方で見させていただき、それをもって実施計画の成立ということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 それでは、以上を持ちまして、本日の審議を終了させていただきます。ありがとうございました。