令和４年度　第２回高知　声と点字の図書館運営協議会
日時：令和５年３月９日（木曜日）
午後３時から午後５時まで
場所：オーテピア４Ｆ研修室

出席者
会長
高知県社会福祉協議会　常務理事　井上達男
副会長
高知県眼科医会　副会長　濱田佳世
委員
有識者　元障害者支援施設長　上田真弓
点訳ボランティア団体　高知ブライユの会　代表　小野ちづる
高知県身体障害者連合会（視覚障害生活訓練指導員）　金平景介
高知県視覚障害者協会　会長　中島正美
高知県視力障害者の生活と権利を守る会　副会長　藤原義朗
音訳ボランティア団体　高知朗読奉仕者友の会　会長　松田光代
ＮＰＯ高知県肢体障害者協会　副会長　松本誠司
　　
事務局
高知　声と点字の図書館　館長　坂本康久
副館長　都築靖子

事務局関係機関
高知市教育委員会　市民図書館　館長　髙石敏子
高知県教育委員会　高知県立図書館　館長　山﨑生
高知県子ども・福祉政策部障害福祉課　課長　西野美香
高知県子ども・福祉政策部障害福祉課　課長補佐　森木博也

１挨拶
事務局より挨拶

２委員紹介

３読書困難者の統計資料について
事務局より説明

会長：先ほどの事務局の説明に対して、ご質問・ご意見等はございませんでしょうか。

委員：事務局から説明があったのは、2009年の日本眼科医会の推計値だと思いますが、眼科医会は、この数値は視力と視野で測ったものの推計値であると言っていますので、先ほどの説明の数に、夜盲や羞明、眼球振とうなどの読書困難の原因となる視覚障害は含まれていません。こういった視覚障害がこれから日本で急速に増えていくだろうと眼科医会は発表しているので、視覚障害は、今、事務局が説明した数より実際は多くなるのではないかと思っています。副会長、何かご意見があればお願いします。

副会長：委員のおっしゃるとおり、今、眼科医会の統計はロービジョンに力を入れていて、羞明や眼球使用困難なども含めて取り組んでいるところです。新しい統計も今後出てくると思います。

委員：ありがとうございます。そうですね、最近、眼球使用困難も言われるようになって、厚生年金でも入ってきました。私が前回述べた、日本出版UD研究会で、1,100万人の推計が出ているというのはそういうことです。今日の数値よりも実際の読書困難者はもっと多いのではないかということで議論を進めていただければと思います。

会長：他にございますか。どうぞ。

委員：詳しいデータをありがとうございます。先ほどの眼科医会の数値は全国の数値なので、高知県にそのまま置き換えてはいけなくて、高知県は高齢化率が進んでいるので、県単位でみるともっと人数は多いと思います。簡単に計算したところでは、視覚障害者の登録率は４％となって、視覚障害者を含む読書困難者の図書館の利用者は１％程度の数値となります。
市民図書館、県立図書館の両館長にお聞きしたいのですが、市町村図書館、県立図書館を含めた利用者数は出ているのでしょうか。亡くなった方や引っ越した方もいて、利用登録者の集計はなかなか困難だとは思いますが。４％や１％の数値が高知県全体の図書館利用者数と比べてどうであるのかというのを検討すべきだと思います。同程度であれば、まあまあ良しと言えますし、足りなければ、広報しなければいけないと思います。
例えば、県民の中で、本が好きな人が何％程度いるのかと思うわけです。読書困難者の方の100％が本好きとは限らないので、そこは100％を目指すべきではないとは思うのですが、そのあたりを比べられれば面白いかなと思います。

高知県立図書館館長：今、手元に資料は無いのですが、さまざまなデータを各市町村図書館からもらって全体をまとめた統計資料はあります。その資料で、市町村図書館の登録者に視覚障害のある方がどの程度いるのかということを、どこまで細かく分析できているかは分かりません。

高知市民図書館館長：以前は高知県立図書館と高知市民図書館との区分けがありましたが、今はオーテピアという登録も加わっていますので、登録者数ということでお答えします。約１年前の令和４年３月31日現在で、オーテピア高知図書館の登録者、旧県立図書館の登録者、市民図書館の当時の本館・分館・分室・移動図書館の登録者の合計が、個人で言うと、有効登録者数は63,329人となっています。

事務局：一般的に言われているところでは、図書館での登録者数は人口の20％程度と聞いたことがあります。

委員：20％程度ということであれば、63,329人は、人口69万人に対して足りていないということになりますね。もちろん、県立図書館と市町村図書館で重複している人もいると思いますが。分かりました、参考になりました。

会長：他にございますか。委員どうぞ。

委員：資料裏面の⑥要介護の欄で、安芸郡の人数が市町村別になっていないのは、介護保険を中芸の広域連合で行っているためですか。

事務局：そうです。

会長：今回、数値を出していただいたわけですが、今後も色々な角度からブラッシュアップできるようでしたら、引き続きお願いします。それでは、次の議題に移りたいと思います。議事１、令和４年度の取組み（成果報告）について説明をお願いします。

４．議事
１令和４年度の取組み（成果報告）
事務局より説明

会長：ありがとうございました。今年度の下半期の取組みと、資料にオーテピア開館当初からの数値も入れていただいて、より経年で見られる形に整理していただいたということです。それでは、先ほどの説明について質問等ありましたら、お願いします。

委員：訪問のことをもう少し教えていただきたい。障害者相談センター、包括支援センターからの紹介による訪問のことをもう少しお願いします。というのは、先日、日本ライトハウスの100周年として非常に感動的な集会が行われたと聞いています。日本ライトハウスの創始者の奥さんが、盲人の福祉は盲人の家庭訪問から起こりうると言われています。この運営協議会、オーテピア点字図書館がどんな素晴らしい魅力的な活動をしていくかも大事だとは思いますが、いかに、在宅の人に気が付いて、オーテピアとのコネクト役をするかが鍵だと思いますので、この訪問が何件か、どういう形で、どういうふうに動いたのかをもう少し教えてください。中には、在宅の障害者の人に伝えて、点字図書館から職員が来てくれた、テープレコーダーの手続きも手伝ってくれて、録音図書も聞いているよと聞きますので、もう少し訪問の内容をお願いします。

事務局：今回から始めました障害者相談センターとの連携事業は、紹介があって、当館の職員が訪問するということですが、実は、障害者相談センターからの紹介が、1月から始めて、実績としてはまだ１件も無いという状況なので、まだ訪問にも至っていないというのが現状です。

委員：ここが課題だと思いますので、今後の議論をお願いします。

会長：訪問はルミエールサロンでも行っていただいていると思いますので、委員に、そのあたりについて補足いただければと思います。

委員：私は高知市を除く市町村を対象に、訪問で視覚障害の方の相談・訓練をしています。100％紹介しているという自信はないですが、９割程度は必ず録音図書の紹介をしています。図書館の職員さんが来てくれるからちょっと電話してみないですかとか言って、それでも、「申し訳ないから」と言われたら、図書館からプレクストークを借りて、１か月間お試しで置いていきますということで置いていくと、はまる方も結構いらっしゃいます。感覚としては、読書自体をあきらめている方もたくさんいて、「こんな物もあったんだね。」と喜ばれる方が非常に多いなと思っています。

会長：ありがとうございました。障害者相談センターとの連携を始めていただいたことはありがたいと思っています。前回、委員からもお話があり、地域包括支援センターとの連携について資料にも記載があったかと思いますが、高齢者の認知症の進行を遅らせる大事なツールになるのではないかと思っています。地域包括支援センターとの状況を説明いただけたらと思います。

事務局：障害者相談センターの次の連携先として、地域包括支援センターを計画しています。障害者相談センターとの取組みが１月から開始ということで、その状況も踏まえて、地域包括支援センターに行こうかと計画していたのですが、実績がないことから取り組みが遅れています。年度末となり、議会も始まってしまって、先方へのアポイントメントも取りにくくなっている状況ですので、来年度の年度当初から地域包括支援センターを対象に、そちらの担当課と協議し、障害者相談センターの状況等も再度お聞ききして、もっと現場の方々が紹介しやすいような形にインタビューシートなどを見直し、もっと簡易で気軽に紹介できるようなことも話し合い、有効な方法を考えていきたいと考えています。

委員：包括ケア会議で、点字図書館、ルミエールサロン、情報障害当事者が入ることが鍵だなと思っています。一応、高知でのモデル事例の発表ではそうなっています。
次の質問です。障害者団体からも強く要望して数年前から選書会が始まりました。対面音訳の場で新しい図書の情報を聞いて、点字図書館のカウンターで、「この本はサピエにありますか。」とか聞くのですが、あるのは２割弱。それで着手してあるかを聞いて、出来上がるのを待ってから読みます。読みたい本の２割程度が読めるかなという感触です。点字図書館で電子図書を読む練習を始めたところなんですが、要するに、まだ読みたい本があまりないということなのです。個人的に要望して、デイジー図書やテキストデイジー図書を作ってもらってもいいんですが、著作権法の関係でプライベートサービスというのは、その人しか読めない。選書会に利用者からも、この本を製作してサピエにアップして、皆で読めるようにして下さいと要望したものもあると思いますが、何件の要望があって、何件できているのでしょうか。私も何回か要望しましたが、できていないです。何か月か後に、できたか聞いたら、それは通りませんでしたとのことでした。その頃には要望した本の名前もだいぶ忘れています。読んだ本なら覚えていますが。読みたい本がいつの間にか消えているということがあります。選書会に要望した本のうち録音図書などバリアフリー図書ができる率はどのくらいでしょうか。
それと、今日は変わった本を持ってきました。やはり、個人で読むより視覚障害者の必要な人が読まないといけない本もあります。「市会議員立候補者に捧げる必携早わかり選挙」、要するに、選挙でやってはいけないこと、罰せられることなどを288ページにわたり書いてある本です。立候補する人は絶対これを読んでおかなければいけない本ですが、出版社はそんなテキストは出せませんとのことで、高知市選管も視覚障害者が読めるようにはできませんとのことです。だから、どうしても作らなければならない本というのは世の中にあるんですが、そういうものの実現の仕方はないのでしょうかということをお聞きしたい。
　
事務局：始めに選書会のことですが、これは前回の運営協議会でも少し説明させていただきましたが、幅広く、特に利用者のリクエストといったものは全部受け付け、選書委員を公募で決め、その選書委員に実際に作る本を投票で決めてもらうというシステムです。リクエストがあった場合は、当館からも良いと思われる図書のリストを作り、その全部を含めた選書会の選定対象リストを作って、その中から選書委員の投票により、声と点字の図書館が皆に読んでいただけるように作る図書としてはどれが良いかということで選んでいただき、その上位のほうから作っていきます。全てを作ることは物理的に無理なので、選書委員に決めていただいたものを作っていくというやり方をしています。そのため、利用者から要望のあった本が漏れる場合もあります。選定から漏れた場合は、プライベートサービス等の利用をお願いします。リストの中から選定されるものは30％くらいで、できるだけ幅広く、色々なジャンルの本を選定リストに掲げていますので、そうした状況というところです。

委員：一定の視覚障害者に知らせないといけない情報、本というものがあると思うんですが、出版社は視覚障害者対象のものは作らないと言い張るんです。だから、やはり、どこかが作らないといけないと思うんです。そういった本はどうやって作ったらいいでしょうかね。どこか、作る組織やシステムがいるんじゃないかと思っています。

事務局：毎年７から８万タイトルが新刊として出版されているようですが、その中で録音図書、点字図書が作られているのは１割に満たないくらいです。実際に作るのは、今、日本では点字図書館や一部の公共図書館のボランティア頼みとなっていますので、なかなか全部の本を作るのは難しいです。その中で、この本は作らなければならないという判断、選書委員にそういった視点を含めて選書していただいている訳なのですが、やはり百人百様というところもあります。ただ、法律とか、そういったもので知らせるべきものについては、点字図書や録音図書などを厚生労働省が色々なところに委託して作っている場合もあります。それと、読書バリアフリー法の大きな意味なのですが、図書館や点字図書館が頑張ってサービスしなさいという法律ではなく、本当に読みたい本を誰もが読めるという社会を作るということで、出版社や事業者、そうした所にもアクセシブルな形態での出版や提供を求めている訳です。全ての人が読みたい本が読めるというのは、まさにそうあるべきで、今、ボランティアの無償の努力によって支えられていますが、やはり、事業者や出版社がもっとそういった意識を向上させて、作っていくということが必要ではないかと思っております。読書が困難な方が高知県では６万人ほどではないかと言われていますが、その方々も紙の本しかないと思い、他の、録音図書などアクセシブルなものがあることすら知らないし、誰もが読める形にして社会の側で提供するべきだという考えも社会に定着していないので、もっともっと読書バリアフリーへの関心が社会の多くの所で認知、共感、理解されるようになることが必要だと思います。長いスパンの話になりますが、そういうところを育てていかなければならないと思っております。

委員：今後の宿題にしていただければと思います。

会長：他にございますか。どうぞ。

委員：資料の８ページで、安芸市と土佐市、いの町、四万十市、香美市、香南市は登録者数が多く、非常に優秀なように見えるのですが、どういう経過で登録者が多いのかをお聞きしたいです。そこを深めると、全体として登録者がどう広がるかが明らかになると思うのでお願いします。

事務局：単純に言いますと、人口が多い所は登録者が多くなっています。人口割でいくと、視覚障害者が多いと登録者も多いということで、ここだけが特別に何かの取組みでということではなく、人口が多い、イコール、登録者が多いと、ほぼ、そのような感じになっていると思います。

委員：安芸市と室戸市を比べた時に、人口で4,000人の違いがあり、視覚障害の手帳交付者数でいうと、安芸市97、室戸市74という差があり、これらをどう見るかにしても、安芸と室戸の人口の差と手帳交付者数の差、登録者数の差を見たときに、登録者数の差が非常に大きいので、安芸市と室戸市で行政の力の入れ方が違うとか、何か、先ほどの人口に比例しているということでは説明できないことがあると思うのですが、そのあたり、どのように考えたらいいでしょうか。
　
事務局：大変鋭いご指摘だと思います。おっしゃる通りで、安芸市と室戸市の違いは、結構大きいと思いますね。
　
委員：室戸市は、図書館も図書室みたいな感じで、そういう風な市の文化予算とか文化への思いというのが、安芸市とは違うのではないかと思います。だから、単純に人口とか障害者の数とかではない何かがあると思います。今日は資料が無いようですが、例えば、オーテピア高知図書館の利用者とか登録者の数だと、室戸市と安芸市はどう違うのかとか。室戸市では漁師とかが多くて、本を読むより酒を飲んだほうが良いと思うかもしれないですし。船に乗っていて中途で視覚障害になった人だと、そもそも本を読んだことが無くてということが背景にあると思います。資料８ページの登録者数というのは、もう少し大きい背景があるんじゃないかと思いますので、そこはオーテピア高知図書館と連携して分析しなければいけないと思います。その背景が分かってくると、声と点字の図書館の登録者を増やす方法が見つかるんじゃないかと思うのですけれど。
市民図書館、県立図書館で、その辺りの状況が分かれば、ぜひお願いします。
　
高知市民図書館館長：オーテピア高知図書館の登録というのは、全国、誰でも登録ができます。先ほど申し上げた件数のうち、高知県外の登録者数を調べてもらって、去年のデータですが、全体の２．５％でした。では、県内のうち、高知市はどれくらいかというデータが欲しくて調べると、高知市がいくらというのは、すぐ出ない状態でした。ですので、システムをカウントできるものに変えてもらえないかと今、相談しているところです。全体数のうち県がどれくらいで、市がどれくらいかというところまでは、やはり知りたいということで、今、相談しています。その中で、各市町村がどれくらいかというところまでは話が至っていませんが、オーテピアのほうで、登録のもっと細かい所まで分かれば、おっしゃるように分析もできるかもしれないなと思って、お話を伺っておりました。システム上でそれができるかというのも一度調査してみたいと思います。ありがとうございます。
　
高知県立図書館館長：県内の市町村図書館の状況というものを、年に１回、細かく調査分析して冊子にするものがあります。今、手元にはないのですけれど、それを見れば、同じぐらいの人口であっても登録者数が違うであるとか、何か見えてくるものがあるかもしれません。そういう情報につきましては、声と点字の図書館へも提供させていただきたいと思います。県内の市町村図書館の状況を見ますと、オーテピア開館以降、土佐市の「つなーで」や香美市の「かみーる」、今後、佐川町、四万十町、それと南国市など県内でも図書館の複合施設があるんですけれども、新築や改修が続いていきますので、そういう所は割と、読書環境に自治体としても力を入れているのではないかと思われます。また、分析したものにつきましては共有しまして、何か見えてくるものがありましたら、運営協議会で報告させていただきます。

委員：そういう図書館の新築とか改築の時に、例えば、対面音訳室を構えてくださいとか、あるいは、点字プリンターを構えてくださいとか、そういうアドバイスをしていくと、徐々に、市町村、県内に広がるような気がするんですが、オーテピアには、システム的に、作った後に分かるんですよね。障害福祉課に連絡があることはあるのかもしれないけれど、その辺りはどうでしょうか。
　
障害福祉課課長：「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」では、公共施設、自治体が建てる物については、届け出の義務は無いことになっています。「つなーで」などにつきましては、こういう設計だけどいいだろうかという相談は受けたことがありますが、公共施設として、「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」は遵守しているはずということで、届け出は受けておりません。

委員：建てる時に、オーテピアにも相談は無いですよね。

高知県立図書館館長：建てる時の相談というよりも、図書館サービスの計画を作る時に、私共の支援・協力の専門企画員であるとか、職員が中に入ってサービス計画の助言などをしておりますので、その中で、当然、バリアフリーサービスについても助言はしております。やはり、何を選択するかという最終的な判断は先方の自治体になりますが、バリアフリーサービスは、これからどんどん進めていかなければならないサービスの一つだと認識しています。バリアフリーサービスの研修などに市町村図書館の職員も参加していますので、意識は醸成されつつあると認識しています。
　
会長：委員よろしいですか。その他にありますか。では、議事２に入らせていただきます。

５．議事
２令和５年度実施計画（案）
事務局より説明

会長：はい、ありがとうございました。令和５年度実施計画の案についての説明でした。ご意見をお願いしたいと思います。

委員：対面音訳について２点お伺いします。前回、点字図書館で対面音訳が増えたのか減ったのかを聞いたのですが、オーテピアになってすごく伸びましたという事務局からの話でした。じゃあ、今度は、高知県全体として伸びたかどうかを教えていただきたいです。多分、オーテピアができるまで、ほとんど対面音訳は高知点字図書館と県立図書館だったと思いますが、今はどうなのか、南国とか、野市とか、高知県全体として対面音訳の利用人数と時間が延びたかどうか教えてください。
２つ目は代筆のことです。先日、ある視覚障害者のご夫婦から、役所への提出書類を点字で出そうとしたら受け取れないと言われたという話を聞きました。なかなか代筆の資源ってあんまりないんですね。介護保険のアンケートとか、回覧板の記入などとかね。障害者総合支援法のサービスでも、一定限られているのであまり無い。実際、ホームヘルパーさんに私が頼んだことがあるんですが、読みに慣れていなかったら書くのも苦手なんですね。どこに判を押したらいいんですかとか聞かれるんですよね。やはり、どこかが代筆できる手段がいると思うんです。このオーテピアの案内を見ても、全体の案内、「対面音訳があります。点字図書館と２階３階でもあります」と書いてあるけれど、「読みます」ぐらいしか書いていない。対面音訳についても、新聞とか、いろんな資料、中の資料も持ち込みでも読みますくらいしか書いてなくて、代筆というのはないんですよ。役所も、役所以外の民間のところも、点字で受け取れる所は無いので、どこかで代筆が必要です。私も、封筒の宛名を書いてもらったりしているんですが、やっぱり、読みのできる人は書くのも上手いので、こういう対面音訳の案内の中に代筆というのも組み込んでいただきたい。そのほうが、みんな、対面音訳にもっと近づけるかなと思っています。

会長：２件ございました。対面音訳のこと、代筆のことですね。それぞれ、お答えできるところからお願いします。

事務局：対面音訳について前回も質問がありました。新たな質問を事前に連絡いただいていましたので、調べてみました。平成25年の旧施設当時、今から10年前位になるのですが、その当時は点字図書館と県立図書館の両方で対面音訳をやっておりました。平成25年度の点字図書館の開催数が年間235回、県立図書館が501回の合計736回ということで、今、だいたいオーテピアで1,000回ぐらいなので、そんなに極端に増えたということでもないかなと改めて思いました。オーテピア開館後は、全ての対面音訳の利用予約やボランティアコーディネートなどを点字図書館で行っているので、点字図書館分だけをしていた開館前とくらべ、ものすごく回数が増えた印象だったんですが、開館前の点字図書館分と県立図書館分を合わせると、そんなに極端に増えたということではありませんでした。
平成25年度は736回だったんですが、その後、オーテピア開館までの５年間で徐々に増えまして、開館の前年の平成29年度には、点字図書館で473回、県立図書館で440回の合計913回となり、かなりオーテピア開館後の数に近づいていたのだなと改めて思いました。特に、点字図書館は開館前のプレハブ施設でも、一応、対面音訳室を２室構えて実施していたので、それもあって、実施回数が増えたのかなと言うところです。
対面音訳に関しては現在、本格的に実施しているのは県内では、このオーテピアだけじゃないかと思います。他市町村でも対面音訳室は整備されていますが、今は新型コロナウィルス感染症の影響で実績は上がっていないと思います。対面音訳に関してはそのような状況です。
代筆サービスについてですが、対面音訳はボランティアにお願いしていることもあり、代筆までは現在できておりません。それで、今回のようなケースで、視覚障害等のある利用者さんが困っている状況で、期限も迫っているなどということがありましたら、職員のほうで、代筆や困り事の対応サービスをさせていただいております。
私個人の考えになりますが、先ほどの手続等に関して、その方が字を書けないなどといったことがあれば、当然、障害者差別解消法など、そういった配慮に基づき、主催者が一定の配慮をし、その方が可能なこと、事業者が可能なことを見つけて対応していくのが本筋じゃないかと思っております。

委員：障害者差別解消法、公務員である県職員の配慮要領とかありますので、その場合は「差別解消法でちゃんと受け取れることになっています。」と言えるのかどうかなど、障害福祉課課長にお聞きします。

障害福祉課課長：おっしゃる通り、障害者差別解消法で行政機関は合理的配慮が義務となっております。点字でしか書類が作れないとおっしゃる方についても、点字で受け取った後に受け取った側で点字を翻訳するなど、墨字に変換することは可能かと思いますので、どういう対応ができるかというのを探していくのが合理的配慮になりますので、基本、行政職員はそういうスタンスで、「はなからできませんとは言わないように。」ということはずっと研修もしております。
また、令和６年６月までには民間事業者においても合理的配慮が義務となりますので、どういうことをしたらいいのかということについて、県障害福祉課でも、令和５年度に研修の仕方を強化して行きたいと考えています。具体的・個別的なやり方について、特に、視覚障害の方などへの配慮については、ご意見もいただきながら進めていきたいと思います。
　
委員：公的な事も、また民の事も、具体的事例の時に、場合によっては相談させてもらいます。ありがとうございます。
先ほどの対面音訳のことですが、やはり、遠くの視覚障害者、郡部の人は、なかなかオーテピアまで行けないとか、地域図書館まで行きにくいという課題があります。本当に、視覚障害者が郡部から出てくるのは大変なことだと思っています。私も医療機関で働いていますので、コロナの感染者数が多い時は、家にいながら、facetimeで対面音訳をしてもらったことも何回かあります。facetimeの繋がりがうまくいかなかった時には電話で朗読を受けたこともあります。そういうやり方もあるということを、地方からの相談の時にはぜひお伝えしていただきたいと思います。具体的には、一昨年、ルミエールサロンに訪問していただいて、iPadの使い方がだいぶ上手になった方がいまして、「facetimeで対面音訳してもらえませんかと点字図書館に相談してよかった。」と言っている事例もあります。そうした遠隔的なやり方も取り入れていただきたいと思います。
　
会長：他にはございませんか。全体を通してでも構いません。どうぞ。
　
委員：委員がおっしゃった図書の件ですが、自分が読みたい本、必要な本、仕事に役立つ本をすぐに読んでもらえないという状況を聞きましてびっくりしました。というのは、なごや会というものが点字図書館の関係であります。その会合があった時に「私たちボランティアも精一杯努力したいと思うので、必要な本を言ってください。」とお願いしたことがありました。そうしたら、ただ１件だけ、ハーモニカの譜面を読んで欲しいという依頼がありました。それはやはり特殊なものですので、講座を開きまして、すぐに作りました。ですから、本当に必要な物でしたら、図書館が「選書委員会があるから駄目だよ」と言っても、ボランティアはやりますから、どうぞ声を上げてください。どこを探しても読みたい本が無いということは、私達ボランティアとしては残念なことですので、遠慮せず、おっしゃってください。
対面音訳をしているボランティア以外は利用者さんとの直接的な会話がないので、利用者の方がどんな希望を持っているかも全く分かりません。ですので、できれば、一年に一度ぐらいは、ボランティアと利用者と図書館が、図書について話し合う会を持っても良いのではないかなと思っています。
選書委員会の委員の方は何か、資格という訳ではないけれども、どういう分野が得意ということで分けていますか。例えば、文学とか工学とか科学とか。最近の図書は非常に難しくなっていますので、それに合った判断ができる方がいるのかということをお聞きしたいなと思っています。
資料２ページの表に肢体等、知的、精神など障害の種別が書いてありますが、聴覚というのは所々しかないです。数として０であっても、表に入れていただいたほうが、我々はこういう方達がいて、どういうふうになさっているかということが見えてきます。例えば、平成30年度であれば、一番下の内訳の「その他１」の下に「聴覚０」と書くというふうに、利用登録者がいないということが私達の関心となってくる訳ですから、０という数字を入れて作っていただけたらありがたいです。それから、「その他の障害」の所ですけれど、障害の種別が増減するのはどういうことなのかお聞きしたいです。

事務局：先ほど委員の言われた、「読みたいものが作ってもらえない」というのは、当館が製作してサピエ図書館に登録してもらいたいものが選書会での選考で落ちてしまうということです。そういう、選考で漏れたけれど、利用者の方が読みたい本は、個人依頼分として当館でお受けし、点訳、音訳ボランティアさんに製作をお願いしていますので、ご安心ください。
　
委員：それは取っておくべき本だとおっしゃっているので、出来上がったものをそちらにも回してもらったらいいと思うんです。選書委員会の中で選定されたものだけではなくて。
　
事務局：もちろん、ご本人には図書のデータをお渡しします。
それから、表中の聴覚のことですが、この表は、その時の利用登録者の障害別に書いておりまして、全ての障害を列挙して、登録があった、無かったということは書いておりません。
聴覚障害の方は、目が見えるのになぜ活字の本が読めないのと不思議に思われると思いますが、手話母語の方は、手話が基本の言語になりますので、墨字の文章、その中でも特に長い文章だと意味が取りにくいことがあります。手話というのは、私たちが墨字で書いているものをそのまま手話にしているわけではなく、手話独特の文法表現になります。ですので、墨字の文章を読むのが苦手な方やなかなか時間がかかるという方がいらっしゃいます。聴覚の障害がありますので、当館から録音図書をお貸しするというわけではないですが、高知図書館のほうで、読書が困難な方に対し、通常２週間の図書貸出期間を１ヵ月に変更するサービス等もしておりますので、そういったバリアフリーサービスを利用できるように登録をされています。この場合、高知図書館と声と点字の図書館共通の利用登録になりますので、当館の利用登録数にそういう方も入れております。
選書会に関しては、公募により利用者とボランティアの選書委員を決定し、当館で製作する図書は、その方々の選定、具体的には、投票により決定しています。そういう形でやっておりますので、このジャンルに得意な方といったことは、なかなか難しいと思います。ただ、利用者とボランティアに参加していただき、できるだけ皆さんが読みたい本を選定できるようにという方法をとっています。
　
委員：それは知っておりますけれど、実際にはそうはいかないようですので、もう少し説明というか、広い範囲での図書製作が必要ですと言っていただくと良いかなと思います。
それから、２ページの表の一番右、令和４年度の所に新規利用登録者７人のうち高知市以外の方は０人とあるのですが、郡部など高知市以外の利用者はもう少し増えないものでしょうか。この０というのは、郡部は全く利用希望者がいないのか、オーテピアからの情報発信ができていないため登録が０なのか、どちらでしょうか。

事務局：郡部というお話が出まして、先ほど、委員から利用登録者数の差は、人口の差だけが理由ではないのではというご指摘もいただいて思い出したのですが、オーテピアで色々サービスをしていますと言っても、やはりオーテピアから遠い所ほど、パンフレットを見ても、馴染みがあまりに無さ過ぎて連絡しないのではないかと前々から当館でも考えておりました。あまりにオーテピアから遠く、施設に馴染みが無いということも郡部の方の利用が少ない大きな要因ではないかと思っています。
身近な市町村図書館でバリアフリーサービスが行われるようにならないと、いくら郵送サービスがあるからといっても、オーテピアに登録して利用しようとはならないと考えまして、一昨年、読書バリアフリー法が制定されてから、図書館向けの研修を含め、県内でのバリアフリー研修などを始めました。
近隣にはなるのですが、香美市と香南市の図書館が読書バリアフリーサービスを始めています。今後の計画としては、県内市町村、いたる所の身近な図書館で読書バリアフリーサービスが始まることで、例えば、室戸市などでも、身近な室戸図書館でそうしたサービスがあれば、もっと利用するのではないかといったことから、市町村図書館連携協力事業を始めています。来年度も、四万十町や安芸市、梼原町などでも行いますので、そういう身近な所でサービスが始まれば、利用者が増えるのではないかと期待をしています。
表に記載の障害の種別が増減するということについてですが、障害の種別はたくさんあり、それらを全て表に記載すると、すごく長い表になってしまいますので、その年に利用登録していただいた方の該当する障害のみを列挙する形を採らせていただいております。表に記載の無い障害については、その障害に該当する方の利用登録が無かったということでお願いいたします。
　
委員：ありがとうございます。もう１つよろしいですか。オーテピアを中心に、利用者に対応していくというふうに受け取りましたけれど、室戸なら室戸の図書館に我々の持っている技術を差し上げて、そこでやっていただくという輪を広げることはできませんか。

事務局：実は、先ほどお話ししたことがそういうことでして、オーテピアがするのではなく、県内の各市町村図書館が読書バリアフリーサービスを始められるように当館でサポートし、各市町村図書館がサービスを提供していくという事業です。
　
委員：わかりました。私どもも安芸、室戸へ行って読書会を立ち上げたりしましたので、皆が参加できる状況に持って行って欲しいと思います。ありがとうございました。

会長：ありがとうございました。どうぞ。

委員：表のその他の障害の欄で、「肢体等」となっているのですが、「等」の中に肢体以外のどんな障害が入っているのかが分からないですので、そこをお聞きしたいです。
　
事務局：肢体不自由の中でも、上肢とか運動機能などありますので、「等」と付けています。

委員：そういったものを含めての肢体障害ですので、ここに「等」という言葉を付けると、肢体障害以外の障害も含めているように思い、意味が変わってくるので、これに「等」を付けないほうが分かりやすいと思います。
　
事務局：この「肢体等」という書き方は悪かったかもしれません。肢体不自由の障害の中の、色々の上肢とか運動機能とか、そういったものを含めて「等」と書いてしまいました。次回からは「等」を外したいと思います。
　
会長：表の記載方法については、また整理しましょう。他にございませんか。どうぞ。

委員：障害と災害情報について一言。今、災害対策基本法で個別避難計画作りが義務づけられています。今、高知市議会では、ケアマネのマネジメントの中に災害対策マネジメントを入れることへ予算が付くかどうかということが、今の３月議会で議論されています。令和５年の予算についてですが。見に行ったことのある包括ケア会議でも視覚障害の事例が出ても、情報障害の評価も議論もない、そういう状態ですから、そういう中で視覚障害の災害マネジメントができる気がしないのです。例えば、触るハザードマップで、まず地域の情報を掴むとか、３Ｄプリンターで災害ハザードマップができるようになってきているのです。そういうふうに視覚障害のことを本当に知った人のマネジメントがないと災害では守られない形になっています。ですので、包括会議等に点字図書館やルミエールサロン、視覚障害当事者が入れる仕組み作り、これが、視覚障害当事者が点字図書館に繋がり、災害から身を守ることに繋がるので、ぜひ、一歩、踏み入れていただきたいと思います。

会長：他には無いですか。どうぞ。

委員：選書委員のことをお伺いしたかったのですけれど、時間の関係がありますので、今回は控えます。
今日以後、声と点字の図書館館長とお話ができる機会が無いかもしれませんので、一足早いかもしれませんが、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。今までご苦労さまでした。そして、ありがとうございました。

事務局：ありがとうございます。

会長：ありがとうございました。他には無いですか。どうぞ。

委員：先日、朝のラジオを聞いていた時に、平成福祉専門学校の学生さんが点訳したものをオーテピアに寄贈したというのを確か聞いたと思うのですけれど、学生さんがそういうことをするのはすごく良いことなんだろうなと思いました。学生さんからの寄贈というのは結構あるのですか。

事務局：平成福祉専門学校の学生さんからは毎年、もう10年以上、点字絵本を作って寄贈していただいております。そういった取り組みもありますし、今年は、リハビリテーション大学校が当館のパンフレット作ってくださって、それを色々な所に配布してくださいました。大変ありがたいです。

委員：若い学生さんとか、そういった方達に関心を持っていただくっていうのは、ものすごく将来に影響するだろうと思うので、何らかの形で啓発していったら良いですね。啓発していく側はオーテピアだけではなく、私達もどんどんこうしたことを広めていきたいなと思います。
もう一つは、私が勤めていた障害者支援施設の職員が、利用者さんに図書関係をじっくり提供して行く日中活動ができていないことです。ですので、その辺りも、例えば、施設がボランティアを置いていれば、そのボランティアを通じて、こういう図書を広めていけると思いますので、そういうような仕掛けをして行ければと思います。今度、梼原町にとおっしゃっていましたが、梼原町にも身体障害者施設「みどりの家」という所がありますので、そこの利用者さんにももっと広げていくとか、そういう仕掛けを具体的に呈示していければ、もっと知られていくかもしれないと思いました。

会長：ありがとうございました。委員よろしいですか。

委員：先ほど、委員からとても重要な提案がされたと感じました。点訳とか音訳の枠を超えて、行政として一番必要な住民の方にするべきサービスの一例を提案されたように思うんです。本を点訳するとか、そういうことではなく、生活に密着したことをもっとしなければいけないかなと思いました。この点字図書館の運営協議会を超えたことを委員がおっしゃっていたので、何かの折に、市や県の行政の方にそういうことをお話しする機会があったらいいのではないかと思いました。
　
会長：ありがとうございました。また、県の障害者施策推進協議会というのが今月中にありますので、そういう視点も議論できるようになればと思っております。
それでは、時間が来ましたので、本日はこれで終了させていただきたいと思います。
私も県社会福祉協議会として、福祉機器展をまた開催していきたいと思います。今年度は、昨年の11月にやらせて頂きましたけれども、令和５年度は、ふくし交流プラザに戻って開催します。それで、読書ツールではないかもしれませんが、持って来てもらった福祉機器をそのまま置いていってもらえるよう業者にもできるだけ働きかけていきたいと思っています。そういうところも連携して、色々と皆さんと取り組んでいきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。