令和４年度　第１回高知　声と点字の図書館運営協議会
日時：令和４年11月10日 木曜日
午後５時30分から７時30分まで
場所：オーテピア４Ｆ研修室

出席者
会長
高知県社会福祉協議会　常務理事　井上達男
副会長
高知県眼科医会　副会長　濱田佳世
委員
有識者　元障害者支援施設長　上田真弓
点訳ボランティア団体　高知ブライユの会　代表　小野ちづる
高知県身体障害者連合会　視覚障害生活訓練指導員　金平景介
高知県視覚障害者協会　会長　中島正美
高知県視力障害者の生活と権利を守る会　副会長　藤原義朗
音訳ボランティア団体　高知朗読奉仕者友の会　会長　松田光代
NPO高知県肢体障害者協会　副会長　松本誠司
高知県立盲学校　校長　八木千晶

事務局
高知市健康福祉部　福祉事務所長　入木栄一
高知　声と点字の図書館　館長　坂本康久
副館長　都築靖子
　　　　　　　　　　
事務局関係機関
高知市教育委員会　市民図書館長　髙石敏子
高知県教育委員会　高知県立図書館長　山﨑生
高知県子ども・福祉政策部　障害福祉課　課長　西野美香
高知県子ども・福祉政策部　障害福祉課　課長補佐　森木博也

１挨拶
福祉事務所長

２委員紹介
各委員より挨拶

３会長、副会長の選任
会長：それぞれ、皆様ご経験、ご見識豊かな方ばかりおられますなかで、新任の私が会長を務めさせていただくのは誠に畏れ多いことと考えておりますが、この声と点字の図書館が市民、県民にとりまして、より身近なものとなりますよう、皆様とともに本協議会の運営に努力してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
副会長：会長とともに一生懸命やらせていただきます。よろしくお願いいたします。

４議事
令和４年度の取組み 中間報告
事務局より説明

会長：先ほどの事務局の説明に対して、ご質問・ご意見等はございませんでしょうか。
委員：コンテンツとしての図書館が高知県・高知市民において、どのくらい利用されているのかの指標のことで、データをどのくらい利用されているかをお聞きしたいと思います。今、事務局から高知県には数万人の読書困難者がいるとの話でしたが、読書バリアユニバーサル研究会の推計値で1,100万人の読みや見えの障害の人がいるという推計も出ています。それも、もっと増えるだろうと言われています。高知県内にも数万人以上いるだろうと思っています。
さて、点字図書館を県民どのくらいが利用されているかという指標なんですが、だいたい20年、30年前の指標では、点字図書、録音カセットテープ図書が何人に利用された、何倍以上になったということはよく流されたんですが、サピエ図書館ができて、指標として、そういう件数が取りにくくなっていると思うんですよね。そういう意味で、先ほど、短期の相談件数とか機器の貸出件数はあったんですが、長い目で見て、それは10年、20年、30年単位で多くなっているのか。オーテピアができて、どのくらい利用者が増えているのかについてお聞きします。たぶん、点字図書や録音図書の貸出は、サピエの関係で比較がしにくくなっていますので、対面音訳の利用件数が、20年、30年昔と比べて、どのくらい増えてきたかを教えていただきたいと思います。
会長：事務局から説明をお願いします。
事務局：読書困難者が県内数万人というのも、そういった統計はないのですが、例えば、視覚障害者は県内で約2,700人ですが、日本眼科医会の推計ですと、視覚障害者手帳は持っていないけれども、その５倍くらいは実際に生活に不自由されている方もいらっしゃるのではないかということで、全体では１万５千人位はいるのではないか、他にも、学習障害の方は５％位で、実際に社会には読み書きに困難さを抱えている方がいるとの推計があります。　　
その他、肢体不自由な方、上肢不自由の方、高齢で寝たきりの方など様々なことを加えますと、５から６万人と言ってもよいのではないかと思っています。その中で実際、録音図書等を使われている方がどのくらいかというと、令和３年度末で県内の累計669人の方が当館の累計登録者なんですが、なかには死亡したり、転居したり、連絡なしで利用しなくなった方がいるので、何らかの形で実際に利用している方は500人ほどだと考えています。従って、ほとんどの方が、こういうサービスがあることを知らずに読書をあきらめている状況にあると思っています。
ただ、オーテピアができて、利用者数は以前から比べるとかなり増えてはいますが、オーテピアだけでなく、市町村図書館や福祉機関、医療機関、そういった様々なところと協力し合って、多くの人がサービスを利用できるような仕組みを作っていくことが必要だと考えています。
対面音訳につきましては、令和４年度要覧の22ページにありますが、令和３年度は929回で、実利用者数13人です。点字図書館時代よりも、はるかに実施数は多くなりました。ボランティア数も増えていますし、対面音訳室も図書館と合同で５室あります。
委員：ありがとうございました。お話を聞いて安心しました。先ほどの1,100万人という推計は、出版UD研究会の2011年に出した、読みや見えの障害がある人の推計です。利用者は増えたけれど、まだ一部ということですね。
事務局：はい。そうです。
会長：それでは、他の委員の方、ご意見・ご質問等はございませんでしょうか。
委員：先ほどの質問に繋がるので触れさせていただきますが、視覚障害者の利用登録ということ自体でいうと、割と頭打ちなのかなという気がしています。人数で言うと、視覚障害の方は高知県内に2,700人くらいいて、その５倍くらい実はいるであろうという推計値がありますが、活字が読みにくくなって読書をあきらめている人へのアプローチというのは、ロービジョンネットワークも含めて、眼科の協力も得ながらやっていて、実感として、あまり増えているという印象はないですが、紹介はしています。圧倒的に多いのは、視覚障害以外の方で、本をあきらめている方への周知・啓発というのは、図書をあきらめている人に出会う数、そこになると思います。
そこで、いろいろな取り組みをされていると思うんですが、再来週にある、高知福祉機器展関連で、僕は実行委員をやっていて、そこで啓発できるというのは、とても大きなことだと思います。その場で、利用登録、貸出は、まあ、持っていける量には限りがあるとは思いますが、ネット等を使えば、その場でダウンロードして貸出できるんじゃないかと思っているんですが、貸出のリクエストに応えられるような、「じゃ、こんな本ある？」と言われて、すぐその場で利用登録、貸出できるような体制をぜひ考えてほしいなと思います。
もう一つは、高知市をモデルケースとして、障害者相談支援センター、包括支援センターとの連携、検討をぜひやってもらいたいです。ご高齢になって見えにくくなってという方も大変多いと思いますので、包括支援センターを含め、計画していただきたいと思います。
あと、以前から言っているのですが、リハビリテーション科、PTさんやOTさんが所属するような病院、視覚障害と言えば眼科と分かりやすいと思うんです。本を持つことができない方や、図書館に来ることができない方がどこに一番集まるかなと考えた時に、リハビリテーション科かなとのご意見をいただいて、そうかなと思ったので、そういう所へアプローチというのもしていただけたらなと思います。福祉機器展に来たら、関係機関にお繋ぎしますので、ぜひ積極的にアピールしていただきたいなと思います。質問というよりお願いです。
野市図書館に先々週、高知　声と点字の図書館館長と一緒に、網膜色素変性症協会の中央東地区管内の患者家族会に参加して、高知　声と点字の図書館館長のお話を聞きました。それまでは、館長がいつも言っておられる、「地域の図書館と一緒に連携してやっていく」ということにあまりピンときていなくて、オーテピアがやっていくサービスでいいんじゃないかと思っていましたが、地域の図書館でやるっていうことの意味というか、地域の方が、うちの図書館、近郊の図書館でやっているんだったら登録しようかと、もしかしたら、アプローチしてくるかもしれないと考えると、館長がずっと取り組んでいる地域の図書館との連携というのは、とても重要で大事なことなのだと実感しましたので、感想として話しました。
もちろん、各市町村図書館の体力と言いますか、直営であったり、アウトソーシングであったりするところもあって、なかなか難しい部分があるかもしれませんが、できるところはぜひ、オーテピア声と点字の図書館が支援して、地域の図書館を盛り上げていっていただけたら、また啓発に繋がるのではないかと思いました。
会長：ありがとうございました。
事務局：本当に福祉機器展は久々の開催で、実は、開催が中止になるまでは結構、新規利用登録もここで数を伸ばしていたので、新規利用登録も貸出もできるように出前で行っています。図書館も利用登録を出前で行っています。
それと、リハビリテーション科は、まだ全然アプローチしてないところなので、なんとか、早期にしていきたいと思っています。
市町村図書館でのバリアフリーサービス実施では、地域の方々にとって、例えば、室戸市の方々が、オーテピアでサービスをやっていると聞いても、なかなか電話したり、家族の方でも電話したりするのは結構敷居が高いというか、全然知らない施設へ連絡するのは、やっぱり、なかなか難しいのではないかというのが実感です。身近な市町村図書館でサービスが実施されれば、随分状況が変わるのではないかと思っています。
会長：ありがとうございました。他にございますか。
委員：令和３年度、高知県で視覚障害１級から６級までの手帳を取得されている方が約2,800人いるのですが、その中で、バリアフリー図書の啓発ということで考えると、知っている方は知っているが、知らない方は全く知らない。どういうことかと言うと、例えば、視覚障害者協会内の話ですが、パソコンやスマホの使用率は50％です。図書に関しては、リンクポケットとか日常生活用具などの機器を使って利用する。そういったことを知っている方は知っているのですが、日常生活用具にこういう物がある、そういうこと自体、知らない方が結構います。特に組織以外の人間、視覚障害者の方は特にそうですね。ローカルへ行けば行くほど、そういった情報弱者の方は、情報を入手できないというのが今の状況です。そういったところから、そういった環境を作るところから始めていくのが優先順位じゃないのかと今回の会議で話を聞いて感じました。以上です。
会長：先ほどの委員のお話ですけれども、他の委員のお話も聞いて、本当にそうだなと私も思ったところです。
私もこの協議会に参画させていただくに当たって、先日、高知　声と点字の図書館館長に携帯型録音機器を借りて体験してみました。「半沢直樹」をお借りしたのですが、なかなか良くて、これは本当に皆に伝えたいなと思ったところです。ボランティアさんの誠実な成果というか、果実というか、それに感謝しますし、内容も素晴らしく、ずっと聞いていたいと感じたところです。
今度、18日に福祉機器展がありますが、福祉行政に携わっていながら、つい先日まで、こういうツールがあるということを知らなかったことに恥じ入った訳ですけれども、やはり、知るということ、先ほどの障害者相談支援センターとか包括支援センターとかいう関係者、それから、リハビリテーション科もありますし、どうしても、視覚障害の方に使っていいただくためには、支援する方、ヘルパーさんにも積極的に紹介していただくということが大変大事だと思います。
本を読むことですごく人間の人生が豊かになると思います。私の知り合いのパーキンソン病でかなり重度化して、ほとんど体が動かず寝たきりの方にも聞かせてあげたいなと思いました。日々の暮らしがより充実するのではないかと思いました。今後もぜひ取り組みを充実していただきたいと思います。
それでは、他にございませんか。
委員：先ほどの委員のお話で２点あります。私も実はリハビリの療法士をしています。理学療法士は患者さんとの接触時間が長いので、この人は視覚障害で読みの障害を持っているなということが分かります。点字図書館でこういうテープを借りたら良いという言葉だけでは、接続、コネクトになっていませんので、点字図書館に電話して、「じゃあ、患者さんに代わってもらいますね」ということで、コネクトの手伝いをした例が何例もありましたし、また、こんなテープが面白かったというのを紹介した方から教えてもらいました。
包括支援センターのことですが、高知市で去年は地域包括ケア会議が36件ありました。具体的に困難事例をあげて、それをケアマネジャーや各種専門家、生活支援コーディネーターが集まって、こういう方法があるのではないかとか、こんな支援があったらいいのではないかとか、そういうことを目的でできた会議ですが、実は、これに点字図書館は委員としては呼ばれてないです。高知市以外では、ルミエールサロンに相談があって、金平さんに行ってもらったりしています。僕はこの辺りがポイントじゃないかなと思っています。やはり、主体的に気付ける人をどう作っていくかなんですね。
こういう困難事例があります。４年前に一回、傍聴に行ったことがあるんですが、見えない障害で、歩行障害があるということで、PTさんの筋力訓練も入れましたけど、それだけ外出ができないぐらいの人なら、情報入手障害、見えぬ障害もあるはずだが、そのことの評価もないし、そういう議論も全然ない。それなら、包括ケア会議に点字図書館が入ったら、点字図書館でこういうふうにしたら生活が変わるよとかいったことになっていきますので、地域包括ケア会議を大事にしていきたいですし、また、高知市でも点字図書館が委員や助言者として入れるシステムが必要かなと思っています。そういった主体的に勉強していって、それを繋げる仕組みができていったら、点字図書館の利用者はもっと増えると思います。以上です。
会長：他にありますか。
委員：たしか前回お願いしたと思ったのですけど、もし通じてなかったら再度お願いしたいですが、要覧の21ページに市町村別の表がありますが、これに視覚障害、肢体不自由の方の手帳の数字を入れていただけると、この数字がどんなものかというのがよく分かると思います。もしよかったら、次の会にぜひ載せていただけるとありがたいです。
あと、結構すごく頑張っているなと思ったのは、前回以降かどうか分からないですが、17ページには眼科からの紹介というので、４つの医療機関、といっても古くからある所が多いですが、実際にこういう形で紹介があったという、この12件が多いか少ないかという問題はありますが、成果としてはあるのではないかと思います。その上の、福祉や特別支援学校からの26件から言うと、少ないのかもしれませんが。経年で数値が見えるとすごく分かるのですが、なにか網羅的に数値は出ていて、今やりたいことに対してどうなっているのかという数字がこの要覧では見えにくいので、そういう数字があると議論ができると思います。議論する材料が提供されないと発言は難しいと思います。以上です。
会長：今の意見に対して事務局お願いします。
事務局：そういった肢体不自由の方とか視覚障害の方の高知県内のデータもお示ししたいと思います。
会長：それはぜひお願いします。手帳の関係でいくと、視覚障害者のみで県下2,700人で、そのうち、高知市内が1,000人、それ以外が2,000人という話でしたが、そういう状況と登録者数の対比というのができるような資料を、前回、宿題になっていたようですので、お願いします。
委員の発言にあった利用者数の話なども、今日の資料で言うと、令和元年、２年、３年の数値ですが、ネットでサピエとしてやっているので、実際の利用状況を抑えるのは難しいと思ったのですが、ダウンロード利用回数というのもちゃんと抑えられているので、できれば、開館した平成30年度からの数値が見えれば、もう少し状況把握ができて、どのくらい何があがるのかというのもわかるかもしれませんので、次回には検討していただければと思います。
それでは、他にはありませんか。
委員：読書バリアフリー法のことでお聞きします。先ほど高知県からも話がありましたけれど、高知県内の視覚障害者から相談があると、よくこの運営協議会の前委員さんと一緒に東へ西へと行ったのですが、ほとんどが考えてみたら、読書問題と情報入手問題の相談でした。
さて、読書バリアフリー法ですが、事務局からありましたように、３年前、読書バリアフリー法ができ、それから、２年前の７月ですかね、国のほうで視覚障害者等の読書支援に関する計画が出されました。そこで、各都道府県で視覚障害者等の読書支援計画が作られ、そして、各市町村に作っていくという流れになっています。今、全国で、都道府県で言うと、６つの道府県でできています。高知県での今の進捗状況、取り組み状況はどうなのかを県子ども・福祉政策部さんからお答えをお願いします。と言いますのは、先ほど、点字図書館と地域の市町村図書館との連携のことを言われましたが、まさに２年前の国の視覚障害者等の読書支援計画の中で強調されているのはそのことなんですね。地域の図書館と点字図書館がどう繋がっていくかというところで、地域の力が発揮できるということが強調されていたのですが、その点でいうと、きちんとした計画を早く作っていただきたいと思います。
最近、数年前から相談があった高知市のある事例で、中途視覚障害の方が、対面朗読してほしいと地域の図書館に相談してもダメと言われたとのことで、正岡さんと一緒に行きました。それでその後、その人が「まだできませんか」と図書館に問うても、「ボランティアが集まらない、部屋がない」とか、そんな感じで断られっぱなしだったと言うんです。じゃあ、その図書館から高知県立図書館、高知点字図書館へ相談したら、いろいろなノウハウができると思うんですが、聞いていないみたいなんですね。ボランティアがいないはずはないんです。できなかったら、いろいろな方法で、やる気があったら、ノウハウはあるはずなんです。県立図書館、点字図書館からノウハウを伝授していく、そういうシステム作りをきちんとしていくために、県の計画を実りあるものにしてほしい。　
私も他の県の計画を読んでみましたが、あまり住民の意見を聞いていないんじゃないかな。本当に県民の意見を反映できる高知県読書計画を作っていただきたいと思います。例えば、その中で、各地域図書館に視覚障害者読書担当を置くとか、きちんと責任を明確にした県計画を作っていただきたい。
また今年８月ですが、国連の障害者権利条約の日本国の審査の勧告を見ても、マラケシュ条約に基づいて、ちゃんと読書バリアフリー図書館ができているのか、それが日本への大きな宿題として出されました。私もしょっちゅうテキストデータの本を出してほしいと出版社に言っているのですが、県内の地方誌となると本当に無いですよね。こういったことも県の読書計画に入れられるように、良い計画を作られるようにお願いします。
会長：ありがとうございました。それでは県障害福祉課から説明をお願いします。
高知県障害福祉課：読書バリアフリー法に基づきます読書環境の整備の推進に関する県計画については、四国では徳島県ですでに作成されていることは承知しておりまして、当県においても視覚障害者など読書の困難な方を取り巻く環境であったり、各市町村図書館との繋がりであったり、そういった現状とか、課題の部分を県教育委員会事務局生涯学習課と当課とで整理しているところです。そして、来年度の策定を目指して、この作業を進めていこうということで、両課で話し合って作業を進めています。策定にあたっては、策定の委員会などを開催し、委員の方に参画していただき、ご意見を聞きながら策定を進めていきたいと考えています。
会長：よろしいでしょうか。それでは、せっかくの機会ですので、ボランティアとしてご尽力いただいているお二方にお話を聞かせていただければと思います。まず、点訳ボランティアの委員からご意見やご指摘ございませんでしょうか。
委員：私どもは、会員の方の努力もありまして、コロナ下で点訳図書が増えています。努力の賜物と思うのですが、たくさん点訳もしていますし、サピエという全国的な組織の中に入っていますので、高知の方だけでなく、全国の方に様々な形でお届けできているのではないかなと思っています。それは大変うれしく思います。
10月に今年初めての勉強会を開いたのですが、そういうことが全くできない中での、会員の皆様の努力に頭が下がります。それを下支えしているのは校正室という５人のメンバーなんですね。この方たちがものすごく忙しい思いをしながら、チェックをして点訳データのアップをしていくということなので、会員の方に頭が下がる思いです。以上です。
会長：ありがとうございました。あとで事務局のほうでまとめてコメントをいただければと思います。
委員：ちょっと確認したいのですが、要覧16ページの相談件数に視覚障害者（ロービジョン含む）とありますが、どのくらいのロービジョンの方が入っていますか。
事務局：数は把握していないのですが、身体障害者手帳をお持ちでない、眼科へ通院中の方などもいらっしゃるということで、こういう書き方をしています。
委員：ロービジョンの方とそうでない方とでは、今までと違っているので、その点がよく分かっていると、作る側も、そこに力を注ぐことができるので、分けることができれば分けて示してほしいと思います。
それから、本を作る側としてですが、やっぱり図書館って面白いと思ってもらわないと来ていただけないんです。本１冊で人生が変わってしまったという人もいます。まるっきり本は読まないという方もいますね。スマホばかりに頼ってしまったということがあると思うんです。だから、本の面白さ、見せ方、知らせ方を研究したほうがいいと思います。良い本なら私でも一晩で読むし、ちょっと役には立つのだけど…ということになると、つまみ読みになるんですね。だから深く読むことができなくなるんです。本によって、著者の方には申し訳ないけれど、読む側にも好き嫌いがありますので。新聞には読書欄があって、この本はおもしろいよと書いていますよね。本の紹介の仕方を考えていただくと嬉しいなと思います。
会長：それでは、先ほどの委員のご意見なども含めて事務局からお答えください。
事務局：ありがとうございます。本当に、ボランティアの皆様には声と点字の図書館のサービスを支えていただいています。点訳・音訳の図書製作はすごく大変だと思っています。間違えないように点訳、音訳をして、校正も２度して、やっと、サピエ図書館にアップロードということで、頭が下がりっぱなしの状況です。特に点訳のほうは委員の言われたように、校正室という５人のベテランボランティアさんが多くのサポートをしてくれていることもあって、点字図書の製作数がオーテピア開館以来、どんどんと上がっている状況です。録音図書も、オーテピアになってから、どんどんと製作数が上がっている状況で、本当にボランティアの皆様には職員一同感謝しているところです。サピエ図書館が全国のボランティアの皆さんの協力でできているというのは、世界でも画期的なシステムだと言われています。
それで、読みたい本を紹介するというところはものすごく大切で、今回もお送りした「すばる」を机の上に配布していますが、そこに、毎月、サピエ図書館に掲載される新刊図書の案内をしていて、それに振ってある番号でリクエストしてくれている方もいますし、オーテピアになって、図書の貸出数もかなり伸びています。というのも、司書２名が貸出を担当しています。読みたい本というのは本当に人それぞれということがあって、電話でのリクエストのやり取りの中で、その人が興味あるジャンルなどを聞き出して、「これどうですか」というふうに、その人が面白いと思ってくれそうな本を選んでいます。一般の図書館では考えられないことですが、「おまかせで」というリクエストをされる方もいます。「どんな本があるか分からんけど、なんか面白い本を送ってや。」というリクエストがあって、「じゃあ、こういう本を送りますね。」ということで、司書が探して送ったりしています。利用者が楽しい読書をできるよう、これからもやっていきたいと思っています。
委員：現場で携わっている者として先ほどのことでお話ししたいのが、おまかせでという話がありましたが、おまかせを利用した方にお会いすると、「もう図書館の〇〇さんが私のツボを結構押さえてくれていて、〇〇さんじゃないとだめなのよ。」という方も結構いて、「司書さんを含めて貸出担当の方には伝えておきますね」ということで、この場を借りて伝えさせていただきます。
それと、広報のことで、先ほど委員さんからもありましたけれど、図書館の宣伝方法として、これも毎回出るんですが、ぜひ、SNSのアカウントを上手に使って、県立、市立図書館含めて広報してもらいたいと思っています。携帯で調べたんですが、オーテピアのツイッターのフォロワー数が265名。比べるのもどうかと思いますが、同じ県立施設で、桂浜水族館は20万人のフォロワー数です。もちろん、いろいろ違うので難しいとは思いますけれども、ツイッター、インスタグラムなどで、いろいろと啓発の仕方があると思うんです。公的図書館がやるうえでの制限はもちろんあるだろうとはイメージするんですが、「＃図書コンテンツと繋がりたい」みたいなハッシュタグを付ければ、どんどん広がっていくとは思うんです。そういうことも含めて、それを見た人が、「おじいちゃん、そういえば、本好きやったけど、最近読んでないなあ」というところで相談に来るというように、口コミって、とっても大事だと思いますので、その点もあわせてお願いします。
会長：はい、ありがとうございました。確かに私もそう思います。新規登録者数が減っているというか、伸び悩んでいるのはどうしてなのか。普通だったら、口コミで拡がっていくはずなのに。そういう意味では、先ほど、SNSというお話しもありましたが、オーテピアのSNSを見ている人はそれなりに関心があると思いますが、全く気付いていない人に知らせなければならないので、今、高知市がLINEでお知らせをしたりしていますので、タイミングを見計らって、こんな良い物があるんだということを簡潔な情報で伝わるように、ぜひお願いしたいと思います。
それでは、他にありますか。
委員：選書委員会を作っていただいたのですが、その結果について、選書されたものが出来上がっただとか、また、それが利用されたかなどを教えて欲しいのですが。選書委員会が選んだ本が何冊かありますよね。その中で出来上がったものが何冊あるかと、その利用者数が分かったら教えてほしいです。
事務局：現在、本は原則、選書委員会で選んでいるので、さきほど統計で示した本は、ほとんどが選書委員会で選ばれたものです。利用回数は、それぞれの図書ごとに貸出回数を１件１件調べれば分かるのですが、何百冊とあるものを１件１件調べるのはちょっと厳しいかなと思います。例えば、昨年度の声と点字の図書館の貸出ベスト10とか、当館製作分がサピエ図書館で何回ダウンロードされたかのベスト10のようなものでしたら直ぐに出せると思います。そういったものもまたお知らせします。
委員：図書館を利用しますと、最近は職員がよく勉強されていると思います。こういった本が欲しいと聞きますと、「あまり専門的すぎるのでここにはありませんが、ここの図書館に行けばありますからご紹介します。」と紹介されて行きましたら、素晴らしく、たくさん本があるし、専門書もありました。ものすごく嬉しかったので、ここでご紹介しました。
会長：ありがとうございました。他にございますか。
委員：医療機関からということで、少しお話しさせていただきます。
手帳を持っている方が2,700人ということで、医療機関に来ている方もたくさんおられるのですが、先ほど、パワーポイントで示されていました「高知家のいっぽ」という紹介リーフレットがあるのですが、相談窓口の一番上にオーテピア高知　声と点字の図書館を載せています。それがありますので、基本的に眼科等の医療機関から「オーテピアに音声図書があるからどうですか」という話を比較的しやすくなったので、お勧めする機会が本当に増えたと思います。ただ、そもそも本に親しんでいない方も結構おられて、「雑誌も音声図書があるので読んでみませんか」とご紹介もしますけれど、「いや、本はいい」と言われ、「でも音声図書だから」と言って、今、うちにも音声図書が置いてあるので紹介したりもするのですが、やはり、そこにある機械を見て、「やっぱり私には無理だから」と言って、そうしたところで引っ掛かりが出てきて、地域の図書館に行かれている方が少ないような感じがしますし、手帳を持っている方は、本と親しむということがしばらくできていなかったと思うんですね。もう読めないということで間が空いてしまって、よけいに読むことができていないということがあるのだと思います。早めに、まだ手帳を持ってない方、ロービジョンの方、本を読みにくくなったなという方にお知らせしていきたいと思っています。
以前、高知県ロービジョンケアネットワークで開催しました、オーテピアのオンラインツアーを通して、音訳ボランティアの方の製作の裏話を聞いたりして、本当にすばらしいことをされているのだなと思いました。
事務局：拡大読書機などを眼科等で紹介されて当館に見に来てくれるのですが、「録音図書を聞いてみませんか」と言うと、「私、本はあまり…」という感じで、けっこう断られることがあります。それでも、「これ絶対面白いから」みたいなことができればいいなと常々思っている次第です。
読書困難な方すべてが本を読みたいと痛切に思っている訳ではないので。もし、そう思っているとしたら、たぶん、社会問題になっていると思います。ただ、読書が大好きだったけれど、障害とか病気とかで、「読めないなあ。もう一回読めたら」と思っている方、いわゆる読書習慣がある方に偶然当たると、「すごい、嬉しい」と喜んでくださるということがあったりします。
会長：他にございますか。
委員：要覧21ページの県内市町村の登録者数を見ましたら、私が想像していたより、34市町村の中で登録している方が結構いらっしゃって、馬路村と大豊町以外は登録している方がいますね。この方たちというのは、どこかの機関を通じて登録に至っている方が多いのですか。
事務局：高知市以外はルミエールサロンさんのご協力が大きいです。旧の点字図書館では、ほとんど、高知市以外へのPRができていなかったですが、それでも、こういうふうに繋いでくれるルミエールさんとか、また、オーテピアになって、いろいろな福祉施設などでPRしたなかで、紹介してくれるという所がありました。そうした経験から、みんなで繋ぐということで、ルミエールサロンさんとか、福祉、眼科、医療機関などから紹介してくれることが一番有効だと思います。そういう仕組みを作るということが、今後、多くの利用者に繋がる一番の近道だと思っています。
委員：私は頸椎損傷なので、当然、手が不自由な人や呼吸器を着けている人、本をめくれない人が周りにいますが、自分の周りの人は本を読んだりしているかなあとか、どういうふうに読んでいるかなあと、ずっと考えていても、実際にはその様子を知らないなと思って、これは、反省と共に、今期も委員をする以上、もっと貢献していきたいなと思っています。
もうひとつ、医療の分野で先ほどからいろいろ出ている中で、ホスピスというものがありますよね。いま、在宅で看取りをどんどんやっていっているじゃないですか。さっき言われたような相談支援員さんとかケアマネさんとかが、当然、在宅のそうした人たちを支えていると思います。私も自分が入院した時に本というものにいろいろな意味で元気づけられたものでした。私が日頃からたくさん本を読んでいるかというと、決してそうではないですし、本に積極的に接している訳ではないのだけれど、やはり、自分の心が色々なことを考える時とか、そういう時に本によって元気になっていくということがありました。ですので、ターミナルケア、在宅ケア、看取りの前とか、そういった時に本に繋がっていけばいいなあと思いますので、私が関わっている、訪問看護であったり、訪問リハであったり、相談であったり、私の知る分野でも、どんどん訪問活動をしていこうかなと思ったところでした。
会長：ありがとうございました。タイトル数ですが、声と点字の図書館で登録されているのは何点くらいだったですかね。
事務局：声と点字の図書館の登録タイトル数は、実物のCDなどの録音図書が約9,000タイトルですが、サピエ図書館で、データをダウンロードできるものだけでも、点字図書だと20万タイトル、音声デイジー図書だと12万タイトルほどあるわけですので、普通に書店とかにある本は、ほとんど網羅されています。
会長：そういう状況ですので、そもそも読書に興味のない方もいらっしゃるということですけれども、いろいろ、すごく硬い本もあれば柔らかい本もあるかと思いますので、その方に合わせた本を紹介してもらうということもできると思いますので、よろしくお願いします。
そろそろ時間が少なくなってきましたが、盲学校から、若者をお世話されている関係からのご意見をいただければと思います。
委員：うちの学校は声と点字の図書館を大変利用させていただいて、サピエの登録もしていただいて、どんどん自分で借りるお子さんは自分で借りていますし、図書室もすごく利用して、学校の図書室の本は少ないですので、オーテピアから借りた本を子供たちがみんなで読んでいるという状況でして、本当に感謝しています。ただ、理解啓発については、盲学校も同じような課題をずっと持ち続けています。盲学校と言ったら、全く見えない人しか通っていない学校と思っている人も多かったり、理療科のほうに大人の方が入っていくことを知らなかったりということなど、ずっと頑張って理解啓発しているつもりですが、やっぱり、つもりで終わっているのだなあということを感じています。
「高知家のいっぽ」を足掛かりにしながら、特別支援学校もSNSの利用が可能になりましたので、もっともっと啓発をしていきたいと思っています。声と点字の図書館と一緒にやっていきながら、いろいろな場面で、お互いに周知しあえていけたらと思っています。情報が届いていない人、情報が必要と思っている人に、どうやって正確な情報を届けるのかが大事だろうと思っています。特別支援学校については、しっかり、盲学校が核となって、お伝えしていきたいと思っています。また、特別支援学級のほうにも周知をしていきたいと思っています。
会長：ありがとうございました。他に、全体を通してでも構いませんが、改めてご意見等はございませんか。
盲学校の生徒さんは多感な時期と思うので、できれば、たくさん本を読んでいただいて、将来を切り開いていただけたらなと思った次第です。
それでは、貴重な意見を各委員さんからいただきましたので、これを踏まえて、今後の声と点字図書館の取り組みがさらに充実したものになりますようお願いしたいと思います。
また、次回の開催には、資料の不足がありましたので、そこは整備していただいて、またご説明いただければと思います。
以上を持ちまして、本日の審議を終了させていただきます。ありがとうございました。